イヤーカフ２ (ページ5)

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「最近学校休みがちじゃない？」

2年生になったある春の日
また同じクラスになった海人は私にそう言った

『そうかな？』

「海斗と2人で遊んでんでしょ」

『…海斗とクラス離れて会える時間減っちゃったし』

バイトと学校の両立で忙しくて
簡単に会えなくなった海斗と少しでも会いたいから

私が海斗のクラスに合わせて
授業を休むようになった

『やっぱなんでもお見通しだね』

「ちゃんと学校来いよ、進路とか危なくなる」

『んー、努力はするよ』

心配してくれてる海人を他所に
6時間目の終わりを告げるチャイムが鳴れば

鞄を持って一目散に教室を出て

ほぼ毎日私はある場所に向かった

『お邪魔しま～す…』

静かに扉を開ければすぐ近くに知ってる顔

？「おー！Aちゃん今日も来たんだね！」

『あ、直哉くん！』

直哉「海斗まだ来てないからそこら辺座って待ってていいよ」

海斗のバンドのボーカルを務めてる直哉くんが
私を快く迎えてくれた

高校から少し離れた場所にある小さな練習スタジオ

本格的なデビューを目指してた海斗のバンドは

部活としてやるのではなく
仕事として取り組もうと

高校にある簡易スタジオではなくて
本格的なスタジオを借りて練習をしてた

そこに入り浸って
毎日夜遅くまで海斗達の演奏を聞いていた

『…あれ、あそこの人達』

直哉「あー、今日合同で使うんだよね」

「他校の生徒だよ」

直哉くんのその声が聞こえてたみたいで

1人の男の子が振り向いて
こっちに向かって軽く会釈をした

私も軽く頭を下げれば

その彼は微笑んだ後
下を向いて手に持ってるベースを弄り始めた

「こんにちは～…ってA、今日も来たの？」

『うん！』

遅れてきた海斗は私を見てふにゃっと笑って
ギターを置いた

「俺らの練習聞いてて飽きないの？笑」

『飽きない！ずっと楽しいよ！』

そう言えばバンドの仲間みんなで顔を見合って笑って

直哉「Aは俺たちのファン1号だね」

海斗「じゃあこれあげる」

そう言ってマジックを取り出して何かを書き込んだ

渡されたピックには

"ファン第1号！"

と書かれていて

「大切にしてね」

こうやって私の毎日に宝物が増え続けた