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文化祭最終日
昨日も今日も休憩時間は特に回る事なく
空き教室で本を読んだ
たまに海人が遊びにきて
出店の食べ物を持ってきてくれて
一緒に食べたりした
海斗くんとは同じクラスでも
当番の時間が被ることはなくて
昨日も今日も一回も会えてない
バンドの演奏会が3日間あるらしいけど
狭い場所での演奏に
人が大勢駆け付けて
室内はぎゅうぎゅうで入りきらないらしい
「あ、時間、」
ふと時計を見れば
針は5時50分を指していて
6時から始まる後夜祭に向けて
空き教室を出た
向かってる途中で海人に会って
「今迎えに行こうと思ってのに」
そう言って隣を歩く
体育館に入った瞬間から空気がガラッと変わって
沢山の人がステージの前で
ソワソワと彼らの登場を待ち侘びていた
「もうちょい前行かないと見えないよ」
海人に押されて少し前へ足を進める
人集りから少し離れた場所に
海人と二人で並んで立って登場を待つ
針が6時を回った瞬間
体育館の照明は一気に落とされ
周りは真っ暗になった
それと同時に響く
女の子の悲鳴によく似た甲高い歓声
びっくりして肩を揺らすと
「もっとおっきい音鳴るよ」
って海人は私に耳打ちをした
構えていればパッと灯を灯したステージに
登場した4人の男の子達
さらに声量を上げて叫ぶ女の子たちに
それより大きな楽器の音で周りを煽る
異様な空間に馴染めずに
初めて見るその光景に
ただただ息を呑んで見つめる
ボーカルらしき人が最初に挨拶をして
その後順番に一人一人挨拶をしていく
「えー、ギターの松倉海斗です」
そう言うと湧き上がる黄色い歓声
「今日はこんな大舞台で演奏させていただけること本当に光栄に思ってます」
海斗くんがマイクに向かって喋り出す
「今日は普段抱えてるもの全部取っ払って全力で楽しんでください!俺たちも全力で楽しみます!」
その声に盛り上がる観客
曲振りもなくカウントから始まる一曲目
想像以上に大きい音に鼓膜が破れるんじゃないかと一瞬不安がよぎったけど
意外とすぐに耳は慣れて
心臓にまで響く重低音に違和感を感じながらも
ステージ上で楽しそうにギターを弾く海斗くんから目が離せなかった
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作者名:ぽぽちゃ | 作成日時:2021年8月31日 17時