イヤーカフ (ページ37)

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海人と仲良くなるのはすごい早くて

いつの間にか名前で呼び合うほどの仲になっていた

「ねぇA宿題見せて」

「やだ」

「なんで」

「たまには自分でやって」

「明日からやる」

何回聞いたかわからないその言葉に折れて

宿題を渡せば

「よっしゃ！」

とか言って忙しく写し始めた

席替えして数日経ったある日の放課後

教室で海斗くんと話してれば

突然教室のドアが開く音がして

「あ、なんかまずかった？」

そう言って海人は気まずそうに教室に入る

私と海斗くんが前後で話すその隣に座って携帯をいじる

こっちもなんだか気まずくてお互いに黙って小説を読む

そんな沈黙がしばらく続いた後

海斗くんの携帯が鳴った

海斗「ごめん、俺行くね」

「うん、またね」

ギターを背負って教室を出てく

海斗くんの後ろ姿を見送って

私も帰ろうかな

そう思って鞄に手を伸ばせば

さっきまで携帯をいじってた

中村海人がこっちを見ていた

「…なんですか？」

「海斗と付き合ってんの？」

「…付き合ってない」

「ふーん、じゃあAちゃんが一方的に好きなんだ」

その言葉に驚いて即座に反応できなくて

言葉に詰まる

「え？待って本当なの？！」

カマをかけたらしい中村海人は

横で目を見開いて驚いた

「うわー、まじでごめん」

って本当に申し訳なさそうに謝った

「全然大丈夫だよ」

「まじで誰にも言わないから！ごめん！」

って顔の前で手を合わせた

「いつから仲良いの？」

こんな感じで質問攻めにされて

馬鹿みたいに素直に答えてった私

すると何かを思い出したように

中村海人が口を開いた

「ってかなんで他の人と仲良くしようとしないの？」

なんて人が聞かれたくないことを聞いてきて

「理由言わなきゃダメなの？」

「いや？別にいいけど」

「じゃあなんで聞いたの？」

「話したらこんなに面白いのに、1人でいるのはもったいないなって思っただけ」

さっきまで笑ってた顔は真剣な顔つきに変わってて

「なんかあった？」

私を見てそう言った

きっとわかってるんだろう

私が人とわざと距離を置いてる事も

関わってくれる人達との間に

無理矢理一線を引いてる事も

人の本心を見抜くのが上手いんだろうな

そんな人に嘘も誤魔化しも通用しない

…こんなことを話してしまったら

そう思ったけど

嘘もつけないと悟って話し始めた