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[ 過去編 ]
「…知らない顔ばっか」
自分が住んでるところから少し遠くの高校を選んだ私は
入学早々疎外感を覚えた
同じ中学からこの高校に進学した人は私以外いなくて
周りを見ればもうすでにできてるグループ
「早いなぁ」
でも特に焦りはしなかった
それもわかった上でここを選んだから
入学してしばらくは名簿順で座らされる
廊下側の席でラッキーだなと思いながら
廊下から見える外を眺めてた
?「あ、すみません…」
私が膝つく机にぶつかって
軽く頭を下げる男の子
「こっちこそすみません」
そう言って私も軽く頭を下げて
机をもっと壁際に寄せる
さっきの男の子は私の後ろの席に座った
少し気になって、ふと後ろに目を配ると
周りの男の子たちとは違って騒ぎもせず
静かに本を読んでいた
「大人しい人」
それが第一印象だった
自己紹介を終えて
後ろの男の子が
「松倉海斗」
って名前だと知った
地味ではなくて、普通に周りの人とも関わるし
男女分け隔てなくよく話す
だけど基本的に騒がず
一歩後ろで周りを見守ってるような人
そこになんだか芯の強さみたいなのを感じた
「まぁ私には関係ないか」
そう思って家から持ってきた小説を手に取って
休み時間はずっとそれを読んだ
たまに寝たり、景色を見たり
1人で自由気ままに過ごした
だからといって孤立してるわけじゃなく
グループワークや2人一組を作る時間は
一緒に関わってくれる優しいクラスメイト
このままひっそりと静かに生きたいと
そう思ってた6月のある日
急な大雨で傘を持ってなかった私は
教室で1人親の迎えを待っていた
共働きで忙しい両親が迎えに来れるのは6時
今の時刻は5時すぎで
空いてる時間特にやることもないし
どこにも行けないから教室で本を読んでた
?「…なにしてんの?」
廊下側の窓から聞こえる声に顔を上げれば
「松倉…海斗くん?」
これが海斗との2度目の会話だった
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作者名:ぽぽちゃ | 作成日時:2021年8月31日 17時