イヤーカフ (ページ27)

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少し経って戻ってきた元太と一緒に歩く

なんだか気まずい沈黙

「…結果、聞かないの？」

先に口を開いたのは元太で

「なんか、それは相手の女の子にも悪い気がする」

「海人が振ったと思ってんだ？」

「いや…」

そうじゃない

そう答えようとしたけど、

実際そう思ってる自分もいて言葉が詰まる

「まぁ、振ってたよ」

横から元太の聞こえて

「これは俺の独り言だから

　偶然聞いちゃったって設定ね」

って笑ってる

「ありがとう」

「独り言だから！ありがとうとかいらない！」

元太のこういうところにすごく助けられてるなって

改めて実感する

「ってかA、海人がモテてるの知らないでしょ？」

「え？そうだったの？知らなかった」

「今のだって珍しい話じゃないよ」

「え？！」

びっくりして横を向けば呆れたように私を見る元太

「普段どこみて生きてんの？」

なんて辛辣な言葉を私に投げかけて

「前からずっとモテてるけど、ここ最近多いよ」

今更気付いたの？

そういう元太に

頷くことしか出来なくて

「俺だってモテてるの知らないでしょ？」

「…それは少しわかる」

「え？は？なんで？」

「だって高校の時とか凄かったじゃん、バレンタインとか…」

「あーもういい、十分！」

男女ともに仲良くて誰とでも分け隔てなく接する元太が

毎月1人には必ず告られてるって噂も

バレンタインデーにチョコを持ち切れないほど貰った話も

他校でも有名だったし。

まぁ実際は海斗が自分の事のように話してたのを
ずっと覚えてるだけなんだけど

「海人も高校の頃モテてたでしょ？」

そう言われて思い出す

「…たぶん？」

なんとなく、それなりに、モテてた気はするけど

誰と付き合ってるとか聞いた事なかったかも

「…海人ってモテるのか」

「今更すぎて怖いわ」

「ちゃんと覚えときな、そんなモテ男に好かれてる事も」

そう言ってニヤって口角を上げて外へ出る

きっと元太は全部気づいてるんだろうな

詳しいことは知らないだろうけど

ある程度の事は気づいてる気がする

最近はそう思って

元太に無理に反論する事もなくなった