イヤーカフ (ページ11)

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「A…A！」

いつの間にか寝てしまっていて

聞き馴染みのある声に目を開ければ

さっきまで隣で寝てたはずの海人が私を見下ろす

「あれ…？」

「もう6時半だから、帰るわ」

少し皺くちゃな服を身に纏って帰る支度を済ませた
海人は

「鍵だけちゃんと閉めて」

って私を起こした

「早起き苦手なのによく起きれたね」

見送るために玄関まで足を運ぶ

「さすがに同じ服で学校行けねぇし」

控えめに笑ってそう呟く

「Aは無理して来なくていいよ」

「え？」

「たまには休んだら？人数多いからバレないと思うし、俺が出席にしとくよ。ノートは元太に見せてもらって」

「…」

「まぁどっちでもいいよ、Aの好きにしな」

そう言って私の頭をクシャッと撫でる

「うん、わかった」

「辛い時はまた俺頼ってよ」

「…ありがと」

「ん。じゃ、またね」

「気をつけてね」

「はあい」

バタンと扉が閉まって

静かな空間に鳥の鳴き声がよく響く

「とりあえずお風呂入ろ」

詰まりきった色んなものを流してしまいたくて
お風呂に駆け込んだ

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お風呂に入っても心のわだかまりまでは流せなくて

「休んじゃおうかな」

さっきの海人の言葉に甘えて

今日は休むことにした

3人のグループラインに

A今日休むね

そう一言送ると

元太大丈夫?お大事に

海人りょーかい

数分後に2人から返信が来た

大学、サボるのなんていつぶりだろ

「海斗と、」

遠出した時以来か

そう思ったけど、最後まで言葉に出すのはやめた

「サボっても特にやることないんだよなぁ」

早起きしちゃったし

そう思って外をぼーっと眺める

「…暇！！！！！！！！」

その暇に耐えきれなくて出かけることに決めた

お気に入りの服に袖を通して

いつもよりちょっとだけメイクに力を入れて

「今日はこれにしよ！」

シンプルなフープピアスをつけて外へ出た

日差しがあったかくて心地よくて

「なんか歩きたい気分かも」

イヤフォンをつけて音楽を流して

目的もなく歩き始めた