しすたーこんぷれっくす【宮】 (ページ2)

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｢今からAのとこ行くんやけどA何組か分かる？｣

入学式もホームルームも終わったあと気がつけば彼からLINEがきとったから｢ Aと同じ1-7でした！｣と返す。すぐについた既読とともに｢はるかちゃんと一緒なら安心や。｣のメッセージとかわいくて少し癖の強いおにぎりのスタンプが送られてきて、思わずわろてしもた。

『なんで笑っとるん？』

隣にいたAが不思議そうにこっち向いたから、あなたのお兄さんの変なスタンプに笑っとるんですよと心の中で呟きながら｢なんでもないで｣と返す。

そうこうせぇへん内に｢ A。｣と扉から背の高い銀髪がやってくれば、教室中はさらに騒がしくなった。

特に女子たちがかっこええだの宮ツインズだの盛り上がるなか、治さん有名人やしイケメンやしなと冷静に考える。まぁ私からしたら彼はただのシスコンなんやけど。

Aと話して頬がゆるゆるな治さんと目が合うと口パクで｢ありがとぉ｣と会釈してくれはった。

治さんとは、中学からの仲だ。Aと仲の良かった私はよく宮家にお邪魔させてもらうこともあって宮ツインズと呼ばれるふたりと知り合った。

ある日、宮家に遊びにお邪魔させてもらって帰ろうとしたとき｢ちょっと待って｣と治さんに呼び止められた。Aを介して話したことはあったけど、ふたりっきりになるのは初めてやったし、整った顔立ちの彼と目が合って心臓がどきりとした。

｢どうしたんですか。｣

｢俺ら来年高校生になるからAと今みたい一緒にいれんようになるんや。Aってめちゃくちゃかわいいやん。せやから近寄ってくる悪い男たちからAのこと守りたいんや。｣

と治さんは淡々と言うた。そん時の目はギラギラとしていて少し怖かった。

｢せやからお願いなんやけど、Aの学校の様子とか教えてくれへん？あ、もちろんAに秘密でな。｣

彼はよっぽどAのことが大好きなのだろう。侑さんと治さんと出会ってからそれはすぐにわかった。彼らがAを見る目が愛おしさで溢れとったから。兄と仲が悪い私は、こんなに愛されて大切にされとるAを羨ましく思った。

｢はい、分かりました。わたしもAのこと大好きなんで。｣

そう言うと治さんは優しい笑顔でニカッてわろた。それから治さんとメッセージのやり取りをするようになった。内容はAのことだけやけどな。