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｢ くっー、ほんまにAがかわいすぎる。 ｣
｢ そんなん当たり前やろ。稲荷崎の制服よう似合うな。｣
｢ 今日からまた毎日Aと登校できるんや！ ｣
｢ 俺ら明日から朝練あるけどな。 ｣
暖かい風にのって桜の花びらが舞う4月。侑にぃと治にぃと同じ制服を見に纏ったわたしは、ふたりにこれでもかと言うほどたくさんの写真を撮られている。わたしに甘いふたりのことやから慣れているといえば慣れとるんやけど。
1個上で、バレーボールが上手くて、かっこよくて、過保護すぎるけれど、わたしの自慢のお兄ちゃん。
稲荷崎の制服がかわいくて、少しモデル気取りで耳より上の位置で作ったふんわりとしたポニーテールを少し揺らしてみれば、あー待ってそれほんまにかわいい！とふたりが言うてカシャカシャと連射音が響く。
これは恥ずかしいからやめてほしい。
苦笑いのお母さんと目が合うと、｢ほら、Aの入学式始まるから！｣といって一足先に家を出た。
先に歩いていってしまったお母さんに追いつこうと、まだ撮りたれへんのに...と言うとるふたりを横目に私も駆け足で家をでる。
少しするといつ間にかふたりはもう私の両隣にまで追いついてきとった。やっぱりふたりとも足が速い。
｢ ん、｣
すぐに治にぃが私のスクバを持ってくれて、侑にぃは歩道側を歩いてくれた。
『 ありがとう。』
そう言うとふたりはニカッと笑ってくれた。
お兄ちゃんたちはいわゆるシスターコンプレックスでわたしに甘すぎる。けれど、その甘さに慣れてしまったわたしも大概ブラザーコンプレックスなのかもしれへん。
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作者名：ぽぽ x他1人 | 作成日時：2023年10月13日 21時
