阿部への宣戦布告 ページ47
目黒｢阿部くん起きてるんでしょ？｣
目黒に声をかけられて顔を上げる。
目黒｢阿部くんも盗み聞きなんて悪趣味だな｣
｢…途中までは本当に寝てたよ｣
目黒｢知ってるけど。で、あの話を聞いて本当のところどうなの？1番のファンは阿部くん？｣
｢…そうだけど｣
目の前の目黒はニコニコとこっちを見てくる。
目黒｢言えばいいじゃん。俺だよって｣
｢言わないよ。言っちゃったらAちゃんに変に気を使わせるだろ｣
目黒｢…阿部くんはAとどうなりたいの？｣
｢どうなりたいって…｣
目黒の質問に対して言葉が詰まる。
Aちゃんの1番近くになりたい。
誰よりも、近くでAちゃんを支えて、守り、触れていたい。
そんな自分の欲が湧き上がる。
目黒｢そんな余裕こいてたら誰かに取られるよA｣
目黒の言葉が胸に刺さる。
目黒｢取られた後に後悔してももう遅いよ。いつ誰に恋するなんてわかんないんだから｣
｢俺に恋してくれるとも限らない｣
目黒｢だったらきっかけ作ればいいだけじゃん｣
｢…そんな簡単に色々言うけどな｣
目黒｢そんなこと言ってんだったら、俺がAの事取っちゃうから｣
｢は？｣
目黒｢結局、阿部くんはAとのこの微妙な関係で満足してるんでしょ？だったらいいじゃんそのまま続ければ｣
｢ごめん。話がよく分からないんだけど｣
目黒｢だから、俺がAを落とすってこと。結構俺マジだから｣
目黒の目を見ればわかる。
ふざけてる訳ではなく本気だということが。
『ただいま。あ、阿部くん起きた？』
｢あ、うん｣
目黒との間に流れていたピリついた空気が和らいだ。
目黒｢おかえり。そろそろ行く？阿部くんも起きたし｣
『そうだね。時間も時間だし』
会計を済ませて店を出ると、少しふらつくAちゃん。
目黒｢大丈夫？｣
目黒は、自然にAちゃんを支える姿を目の前にしてピリつく自分の気持ち。
『大丈夫。ありがとうめめ』
目黒｢帰れる？｣
『帰れるよ。いつもも1人で帰れてるし』
目黒｢確かに。タクシー捕まえてくるから待ってて｣
目黒は1人で大通りにタクシーを捕まえに向かった。
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作者名：ぽぽ
| 作成日時：2021年6月8日 17時
