阿部を誘う ページ41
テレビの収録が終わり、荷物をまとめて帰ろうとしているとスマホが鳴った。
｢目黒？どうしたの｣
目黒｢阿部くん今日テレビ局で収録でしたよね？もう終わりました？｣
｢終わって今から帰るところだよ｣
目黒｢これからメシいきません？｣
｢いいよ。行こう｣
目黒｢そしたら、下のタクシー乗り場で待ってます｣
｢了解｣
目黒からの電話を切るとそのまま、エレベーターに乗って下の階へ向かおうとした。
小野｢阿部さん…｣
｢はい？｣
小野｢あの、私小野マリンって言います｣
｢あ｣
Aちゃんに連絡先を渡した女の子。
小野｢あの…私の連絡先…｣
｢Aちゃんから受け取ったよ｣
小野｢本当ですか？！｣
パッと明るくなる顔。
｢うん。でも、ごめんね。連絡を取るつもりは無いんだ｣
｢そう…なんですね…ごめんなさい｣
｢仕事頑張ってね｣
あまり関わる気になれず、ちょうど来たエレベーターにそのまま乗り込み、小野さんを残し目黒が待つ下の階へ。
足早に、タクシー乗り場に向かうと目黒とその横に下を俯いた女の子の姿。
｢目黒｣
目黒｢あ、阿部くん！｣
目黒に近づくとその子が誰なのか分かった。
｢Aちゃん？｣
『…お疲れ様です』
下を向いたまま、挨拶をするAちゃん。
すると、俯いた顔からポタリと雫が落ちる。
目黒｢これで2人じゃないよ。行こ｣
目黒がそのまま、Aちゃんの腕を引き目の前に止まっていたタクシーに乗り込み、状況が分からないまま慌ててその後ろを追いかけた。
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作者名：ぽぽ
| 作成日時：2021年6月8日 17時
