阿部が恋したのはSixTONESの紅一点 (ページ35)

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阿部の不安ページ35

揺られる車の中で、Aちゃんから受け取った小さな紙を開く。

その中には、やっぱり小野さんって子の連絡先が丁寧に書かれていた。

けれど、別に嬉しいとも何とも思わない。

むしろ、そうやってAちゃんを利用したことに少しだけ腹が立っていた。

｢…はぁ…今までどんだけこんなことあったんだよ｣

ぐしゃりと握りつぶされた紙を車内のゴミ袋の中に捨てた。

恐らく、こういった連絡先渡される以外にもきっと傷つくことが沢山あったんだろう。

あまりにも、沢山ありすぎて慣れてしまったんだろうか。

それとも、誰にも見せずに自分の中に留めておいているのか。

そんなことを考えると、何も出来ない自分に腹が立つと同時に不安になる。

このまま、気が付かないままAちゃんが我慢し続けてたら？

もしかしたら、目の前からAちゃんがいなくなってしまうんではないか。

そんな昔の仲間を長年見続けてきたからこそ、不安になる。

ほんの些細なことで、心は簡単に折れてしまうから。

｢…頼むからなんかあったら頼って｣

届かない俺の声。

折れてしまう前に誰でもいいから頼って欲しい。