伝書鳩の役目 ページ34
阿部亮平21時くらいに着くと思う
阿部くんからのメッセージに了解と返すと、阿部くんに渡す紙をテーブルに置いてすぐ渡せるように準備をして、ソファに座り阿部くんが来るのを待っていた。
21時過ぎにピンポーンとインターホンがなり出るとモニターには帽子にマスクの阿部くんが映っていた。
｢阿部です｣
『はーい。今あけるね』
オートロックを解除して、中に入る阿部くんを確認してテーブルに置いてある小野さんから受け取った紙を手に持ち玄関に向かっていると、ピンポーンと再度インターホンが鳴る。
覗き穴から外を確認する、画面越しに見た阿部くんが立っていた。
『お疲れ様』
｢ごめんね。こんな時間に｣
『全然。あ、これ』
阿部くんの手のひらに置いた小野さんから渡された小さい紙。
｢ありがとう…なんか、ごめんね。変に気を使わせちゃったみたいで｣
『ううん。全然。こういうの慣れてるから気にしないで』
｢…そんなにあるのこういうこと｣
『うーん。最近また1人の仕事とか増えたからよくあるかな。いつもは、ちゃんと断るんだけど断りきれずに逃げられちゃったんだよね』
私のことを心配そうに見つめてくる阿部くん。
｢Aちゃんなんか変なことされたりしてない？｣
『え？別に…』
｢なんかあったらすぐ連絡して。電話でもメッセージでもいいからすぐ｣
『あ、はい。でも、本当に大丈夫…だよ』
阿部くんの勢いに返事をしてしまったが、私はそこまで思い詰めてるつもりはなかった。
｢大丈夫だったらいいけど。直ぐにAちゃん抱え込むから｣
『…そうかな』
｢うん。Aちゃんはもう少しわがままになってもいいんだよ？｣
『わがままか…』
｢うん。わがまま。Aちゃんのわがままはなんでも受け入れるから俺は…だから何かあったらすぐ言うんだよ？｣
ポンっと頭の上に阿部くんの手が乗り、さっきまで難しい顔をしていた阿部くんが優しく笑う。
『うん、ありがとう阿部くん』
｢じゃ、俺そろそろ行くね｣
『気をつけてね。おやすみなさい』
｢おやすみ｣
部屋を去る阿部くんに手を振り見送り部屋の中に入った。
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作者名：ぽぽ
| 作成日時：2021年6月8日 17時
