阿部が恋したのはSixTONESの紅一点 (ページ32)

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不穏な空気ページ32

｢出雲さんだ｣

｢ほんとだ。あの子、ジャニーズ事務所なんでしょ？｣

｢そうそう。普通に考えてありえないよね…私なら無理だわ｣

｢私も…。1人残ってるって事はさやっぱり…ねぇ？｣

クスクス私を横目で見なが陰口。

1人で仕事をすることが増えて聞こえてくるようになった周りの声。

昔もそうだったから別に今更気にすることも無い。

それに、別の人たちは

｢出雲さん。これ渡して欲しい人いるんだよね｣

｢私も！｣

と、伝書鳩扱いなこともあった。

『…ごめんなさい。私そんなに仲良くないんだその子と』

丁寧に断るとムッとした表情を見せてどこかへ行ってしまう。

そんなこと何回もありすぎて慣れてしまった。

ドラマの番宣で、通された楽屋。

1人部屋で、今日の台本に目を通していると扉をノックする音が

『はい』

ノックに返事をすると歌番組で何度か共演したことのある女の子が入ってきた。

小野｢あの、私小野マリンって言います。今日はよろしくお願いします｣

『すみません。わざわざ出雲Aです。よろしくお願いします』

小野｢今日は出雲さんと一緒の仕事って聞いて楽しみにしてて｣

『ありがとうございます。そんなこと滅多に言われないからびっくりして』

小野｢あの、出雲さんにお願いがあって｣

なんだか、その言葉に少しだけ嫌な予感を感じながら、なんですか？と聞き返す。

小野｢これ、渡して欲しい人がいて…｣

小さく折られた紙をみて察する。

『えっと…ごめんなさい。そういうのはちょっとできなくて』

小野｢SnowManの阿部さんに渡して欲しいんです！渡すだけで構わないんで｣

『いや、それは出来ないです。そんなに親しいわけじゃないし…』

小野｢お願いします！返事の強要とかはしなくていいので！｣

『え！？ちょっと』

無理矢理手のひらに握らされた手紙。

私が驚いている間に小野さんは、部屋を出てどこかへ行ってしまった。

『…困ったな。どうしよう』

手を開き真ん中にのっている小さい紙。

無断で捨てるのも気が引けるし、どうしたらいいのだろうか。