阿部が恋したのはSixTONESの紅一点 (ページ19)

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脱線ページ19

一体何を話したらいいのか。

分からないまままた、数分気まずい空気が流れている。

｢Aちゃん｣

『は、はい！？』

いきなり声をかけられびっくりして変な声が出たのがわかり慌てて口に手を当てる。

｢あはは、そんな焦らなくても｣

『ご、ごめんなさい』

｢別に謝られることじゃないよ。俺多分誰よりも恋愛経験ないんだよね。今更だけど｣

『…私なんて全然ですよ。今まで恋愛なんて頭の中に少しも思い浮かばないままだったからお恥ずかしい話恋愛経験ゼロで』

他の人だったらきっと引かれる話かもしれないけれど、阿部くんはそんな素振りもなく私の話を聞いてくれていた。

｢別に恥ずかしい話なんかじゃないよ。恋愛は義務じゃないんだから。それにAちゃんは今まで頑張ってたじゃん｣

『本当に頑張れてたのかな。もっと違う結果をジャニーさんに見せられたかもしれないのに…って、全然話が変わってきちゃってる。なんか暗い話みたいになってごめんなさい』

変なことを思い出してしまって慌てて、無かったことにしようと笑い誤魔化す。

｢Aちゃんは頑張りすぎだよ。たまに見てて大丈夫か不安になる｣

『そんなことないよ？みんなに比べたらまだまだだよ…ねぇ、それより阿部くんの恋愛話聞かせてよ！そのための阿部ちゃん先生ですよね？』

｢…うーん。そう言われると何話したらいいんだろうかね｣

暗い話からやっと、本題へと戻ってきた。

私の話は今はいいんだ。

私の中だけに留めておけばいい話だから。