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チェックアウトの時間が来ていて、荷物をまとめ部屋を出る支度をし亮平の元に向かう。
｢…そんな寂しそうな顔しないで｣
『…うん』
｢早めに会いに行くから｣
『無理しないでね』
｢やだ。仕事さっさと片付けてAに会いにいく｣
『…倒れちゃうよ』
｢俺は大丈夫…Aこそ無理しないで｣
『うん。ありがとう』
｢…それじゃ行こうか｣
私の手を取り部屋を出る。
ギリギリまで触れていたくて、この手を離した瞬間に会えなくなるのが悲しくて。
永遠の別れみたいな気分。
｢俺このまま会社行くから。これタクシー代｣
『…私電車で帰るよ』
｢いいから。荷物も多いし使って｣
『…ありがとう』
｢うん。送れなくてごめんね。また、すぐ連絡するから｣
『うん。仕事頑張ってね』
｢ありがとうA｣
ホテルを出て触れるだけのキスを私にしてくれると、そのままタクシーに乗り込み会社へと向かっていった。
私も、タクシーに乗り込み家へと向かう。
2日ぶりに家に帰ると、お兄ちゃんが待っていた。
照｢…随分長く居なかったな｣
『…うん。羽振りのいいお客さんだったから。はいこれ』
テーブルに置いた封筒を見て少し驚きながら中を確認する。
照｢…ふっ。すげえな｣
『…うん。本当に凄いよね』
お金を見ているとなんだか切なくなる。
照｢…どうした？そんな顔して｣
『…お兄ちゃんはどうしたら幸せになれる？』
照｢なんだよ急に｣
『私ね。お兄ちゃんが幸せになってくれるならなんでも頑張れるの。お兄ちゃんのためなら』
咥えていた煙草を灰皿に押し付け火を消す。
照｢…そんなもんねぇよ。金さえあれば俺はそれでいい。金は嘘をつかねぇだろ｣
『…そうだね』
お兄ちゃんに渡すお金を何に使ってるのかなんて私は知らない。
前までは、お金を取りに帰ってきてまた居なくなるって感じだったのに最近は、家にいることも増えて何に使ってるのか。
それでも、お兄ちゃんがお金を求めてるなら私は私なりに稼ぐし、満足してくれるならそれでもいい。
照｢…辞めたいとか思ってる？｣
『…わかんない』
照｢そっか。ちょっと出てくるわ｣
『うん。私夜出かけるから』
照｢あぁ｣
お兄ちゃんを見送り、自分の部屋の布団に横たわる。
あの時辞めたいって言ったら解放してくれたのかな。
『そんなわけないか』
少しだけ疲れた体を、休める為に目を閉じる。
夜は目黒に会いに行くんだ。
約束したから。
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作者名：ぽぽ
| 作成日時：2022年2月11日 10時
