天秤にかけたとき2 (ページ35)

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照｢元気でやってんのかよ｣

『うん。元気だよ。周りの人達も優しい人だし』

照｢幸せなのか？｣

『…うん。幸せ。みんなが幸せなら私は幸せだよ』

照｢お前の幸せを聞いてんだよ俺は｣

亮平は一命を取り留めて今は普通の生活ができていて、目黒は家を出たあと深澤さんに声をかけられて、深澤さんの会社で仕事をしてるって。

亮平と目黒は会う度にバチバチしてるらしいけれど、仕事ではそのバチバチがプラスの方向に向いてるとか。

お兄ちゃんは、1人で便利屋さんとかやってるとかで、いつも忙しそうにしている。

私がいなくなったことによって、みんなが幸せなら私は凄く満足だよ。

『みんなの幸せが私の幸せだから。いいんだよ』

照｢…帰ってこいよこっちに｣

『いやだ。私は私なりに新しい人生始めようとしてるから』

照｢…あいつが待ってるぞ｣

あいつって亮平の事かな。

何度も言ってるのに。

私の事は忘れてって。

『…忘れてよ』

照｢忘れられないんだろ？世界で一番愛した女の事。何よりもお前が大事なんだよ。だから、教師もやめて死ぬ気で働いたんだろ？どんなに天秤にかけてもお前が1番に優先されるんだよ阿部は｣

そんなこと言われたって、今の私にはなんにもしてあげられないのに。

照｢お前だって。自分の幸せより周りの幸せを優先したんだろ？だったら、周りの幸せ考えるなら阿部の所に帰ってこいよ…あいつはずっと待ってるんだから｣

『…いやだ。帰らないから…それじゃ私そろそろでなきゃだから切るよ』

照｢おい！ちょっ｣

一方的にお兄ちゃんからの電話を切り、家を出る支度をした。