天秤にかけたとき2 (ページ33)

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村山｢…うるさいわね。あんたがずっと悲劇のヒロインぶってムカつくの！！ヒロインは私じゃなきゃ嫌なの！！｣

村山さんのポケットから出てきた銀色の光るもの。

それがなんなのか私は認識できないまま、ただ見ていることしかできなかった。

｢A！！｣

私の前に飛び出した亮平と村山さんの影が重なる。

『…っ。亮平？』

｢…A大丈夫？｣

私に声をかける亮平。

そして、床にポタポタと流れる赤い液体。

村山｢…なんで邪魔するのよ｣

｢は？なんでかって？死ぬほど大切だからだよAの事が！｣

亮平に突き飛ばされて、尻もちをついた村山さんの手は赤く染っていた。

力なく座り込む亮平に駆け寄ると、お腹に刺さる小さなナイフ。

そして服が赤く染まっている。

『亮平…亮平…』

｢…っ止めるつもりがしくったかな｣

『…なんで庇うの』

｢…くっ。Aの事を死ぬほど愛してるから…それだけかな。あー。結構痛いもんだね刺されるって｣

『…救急車呼ばなきゃ』

テンパる私の手を握る亮平。

｢…大丈夫だから｣

『大丈夫なわけ！！』

｢俺Aの為なら本当になんでも出来るんだって改めて思えたよ。｣

『ねぇ、お願いだから喋らないで…目黒、救急車呼んでお願い！！』

｢…Aが好きなんだ。ずっと君に出会った時から…最初は同情だったかもしれないけれど。気がついたら好きで…Aを追いかけてた。こうやってずっとそばに居たくて…やっと会えたのにな…｣

段々と声が小さくなり、瞼が閉じかけている。

『…亮平…また一緒に出かけよう。私ね、亮平のそばにいると素の自分で居られる気がするの。亮平とずっと一緒にいたいの…だからしっかりして！』

｢…嬉しいな。Aにそう言って貰えて…俺もAと一緒にいたい…｣

『…一緒に居よう。もう、亮平の傍から離れないから…だからお願いだからしっかりして！！』

私の頬に優しく触れ、流れる涙を親指で拭り力なく笑う。

｢…っ。泣かないで…A愛してるよ｣

私の頬を撫でていた手が力なく床に落ちていった。

『亮平？…ねぇ、起きてよ！！亮平！！』