天秤にかけたとき2 (ページ19)

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目黒に会いたいって言われ、身支度をして家を出た。

少し歩いていると、スマホが震え画面を確認すると亮平からのメッセージ。

阿部亮平大きい仕事終わって来週から、結構休み貰えることになったから良かったらどこか行かない?

亮平からのメッセージが届くと、一瞬幸せな気持ちに包まれる。

Aうん。亮平が良かったら行きたい

都合のいい女だなんて思いながら、亮平に返事を返して目黒の家に向かう。

いつもの様に、インターホンを押して目黒の声が聞こえ中に入ると、玄関で出迎えてくれた目黒。

だけど、なんだかいつもと雰囲気が違う。

『…目黒？』

目黒｢A…阿部じゃなくて…俺を選んでよ…｣

『え？』

目黒｢…今すぐ決めて。俺か阿部か｣

目から涙を流し光が無い目。

あきらかに様子がおかしくて、なんだかいやな感じがする。

今すぐに逃げなきゃって。

玄関の扉に手をかけようとすると、すごい力で腕を引かれて家の中に連れ戻される。

目黒｢…なんで逃げんだよ…選べって言ってんの｣

玄関に倒れこむ私を逃がさないようにと、床に押し付ける。

『…目黒…待って変だよ』

目黒｢…変だな。わかってるよ変だって！こんな風にさせたのはお前だろ！！…早く選べよ…阿部か俺か｣

『…っ。わかんない…』

目黒｢ちっ...めんどくせぇな。わかってんだろ？俺じゃなくて阿部だって事。阿部が好きなんだろ？｣

『…目黒』

目黒｢…いいよ。阿部が好きでも…でも、もう2度と阿部には会えないんだから｣

今目黒はなんて言った？

2度と会えないってどういうこと。

『…どういうこと』

目黒｢…そのまんまだよ…Aはこれからずっと俺と一緒にいるんだよ…｣

『…っ』

首に手をかけられると、じわじわと酸素が吸えなくなっていく。

『…ぐっ…め、ぐろ…』

目黒｢…ごめん…俺にはAしかいないんだよ｣

私が最後に見たのは、泣きじゃくる目黒の姿だった。