loss of memory 阿部恋シリーズ (ページ6)

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私はここ数年の記憶をなくしてしまっているらしくて、知らないことだらけのこの世界。

滝沢くんから色んな話を聞いた。

私がグループを解散してずっと1人事務所で活動していたこと。

SixTONESというグループに加入して、今はデビューをしていること。

私の活躍。

そして、ジャニーさんが居ないことを。

人から聞く話だから、全然理解出来ないしこの前まで話していたジャニーさんが居ないなんてことが信じられなかったけれど、山梨さんからも話を聞かされ、私に事実を伝えるために持ってこられた記事を見ると、本当なんだと受け止めるしか出来なかった。

気分としては、どこか異世界にでも来てしまったみたい。

山梨｢A大丈夫？｣

『…わかんない』

山梨｢そうだよね…急に言われても困るよね…｣

鏡に映る自分自身も、なんだか自分じゃないみたい。

髪の毛は伸びて、何となく顔も違う気がする。

山梨｢ゆっくりでいいから…そばにいるから私｣

山梨さんが優しく接してくれるけれど、ずっとこのままでいいわけじゃないのはわかってる。

あの日、1人で進むと決めて事務所に残ったんだ私は。

ただ、ちょっと環境が変わっただけで1人なのは変わりない。

『私は大丈夫だよ山梨さん』

山梨さんの顔を見て笑いかけると、私の顔を見ながら何故か涙を流していた。