22 阿部side ページ22
Aちゃんがまた会いたいって言ってくれた。
そんなことがぐるぐると頭の中で周り、よく分からなくなる。
他人の俺が会いに行っていい?
でも、Aちゃんは俺の問い掛けに待ってるって答えてくれて、少し強ばりながらも薄らと笑ってくれた。
あの頃のAちゃんと絡みがあった訳でもないのになんで。
頭の中で理解が出来ないまま、夜風に当たりながら家へ向かっていると、ポケットのスマホが鳴り出す。
画面を見ると、照からでそのまま電話に出た。
「…もしもし?」
岩本「おう、大丈夫?」
「うん…まぁ…」
岩本「…Aどうだった?元気そう?」
「…うん。元気だった。照…木曜日ちょっと保留にしてもいい?」
岩本「別にいいよ。無期限の延期で」
「なんだよそれ…。今日さ、Aちゃんにまた来てって言われたんだ」
あの時の言葉がずっと頭の中に残って、思い出すだけでふわっと心が暖かくなる。
岩本「良かったじゃん。ちゃんと行けよAの所」
「うん…なんでまた来てくれるって言ってくれたんだろう」
岩本「…なんでだろうな。Aに聞いてみるのが早いんじゃね?」
「そうだけど…」
岩本「記憶がなくなってもどこかでお前のこと探してたんだよAは、だからそんなこと言ったんだろ?じゃなきゃ、知らない男にそんな事言わないだろ。あのAがさぁ」
誰にでも、ベタベタする子じゃない昔から。
岩本「…ちゃんとAの事と支えてやれよ。Aの為にもお前の為にも」
「…うん」
岩本「それじゃ、気をつけろよ」
切れたスマホをポケットにしまい真っ暗な夜空を見上げる。
俺がAちゃんから逃げてただけだったんだ。
これからは、少しでもAちゃんのそばにいられるなら居たい。
例え記憶が無くても。
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作者名:ぽぽ | 作成日時:2021年10月28日 12時