loss of memory 阿部恋シリーズ (ページ27)

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27 阿部side ページ27

岩本｢本当によかったのかよ｣

｢うん、今じゃないと思うから…これでいいんだ｣

Aちゃんの家から俺の荷物を運び出して、俺の家にあったAちゃんの荷物を家に置いてきた。

一時は延期をしてもらったけど結局この決断に至った。

岩本｢…Aに事実伝えてたらいいんじゃないか。別にお前のこと拒否してるわけじゃないんだし｣

｢…家に帰ってきて男の荷物あったら驚いちゃうじゃん｣

岩本｢そうだけど話せば…｣

｢話しても理解できないことだってあるんだよ。それに、俺がAちゃんを守るって約束したから…｣

岩本｢…そっか。まぁ、阿部が決めた事だし俺がどうこう言うのも違うか…。Aのこと支えてやってくれよ。妹みたいなもんだからさAは｣

｢うん。できる限りのことはするつもり｣

それから、照に手伝って貰って運び込まれた荷物をあけるとふんわりとAちゃんの匂いがして、なんだか懐かしさを感じる。

自分の服を手に持ちそっと顔を近づけると、なんだかAちゃんが近くにいる気がした。

本当はもっと傍に居たいのに。

こうやって抱きしめてAちゃんを感じたいのに、今はその時じゃないって言うことも理解してるつもりだ。

そのタイミングが来るまで自分の心に鍵をする。

でも、決して後ろ向きじゃなくてAちゃんの為の前向きな考え。

いつかはきっとあの頃に戻れると俺は信じてるから。