阿部が恋したのはSixTONESの紅一点2 (ページ34)

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『ありがとうございました』

｢…大丈夫？｣

『うん…大丈夫…』

また、亮平くんに部屋まで送ってもらい何とか家に帰ってくることが出来た。

『…亮平くん。本当にありがとう』

｢Aちゃん｣

もう泣きすぎて涙が出ないと思ってたのにまた、涙が出てくる。

『…あの時、亮平くんが来てくれて…本当に良かった…嫌だったの。あの時すごく逃げ出したくて仕方がなくて…その時に亮平くんが来てくれて本当に良かった…』

ソファに座りながら、あの時の記憶が蘇る。

私の体に触れる佐々木さんの手の感触。

思い出しただけで肌が粟立つ。

｢…俺間に合っまたかな？｣

ソファに座ることなく私の足元に座り、置いていた手を掴み俯いたはまま問いかける。

間に合ったとは、なんのことを示すのだろうか。

私にはわからないけれど、私の中では間に合ったと思っている。

キスだけで済んだんだ。

それ以上のこともされずに済んだんだから。

『うん…間に合ったよ？ありがとう…亮平くん』

ぎゅっと強く私の手を掴む。

｢…よかった。本当によかった…｣

小さな声で何度も繰り返す。

｢Aちゃんに、何かあったらどうしようって1人で突っ走って…あんな光景みてら冷静でいられなくって…俺、かっこ悪いよね｣

『…なんで？あの時亮平くんが助けに来てくれてよかった…かっこ悪くなんてないよ。ありがとう』

ソファから、下り俯いたままの亮平くんを抱きしめた。