【ヒロアカ】助けて、ヒーロー！【轟焦凍】 (ページ9)

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　私がここに来てしばらく経った。本日ヒーロー科のみなさんは、学校を離れた場所で演習をするそうで、私とリカバリーガールは静かな保健室とやらで久々に余暇をもて余していた。リカバリーガールは難しい書類を険しい顔で睨みつけ、時折お菓子を頬張っている。やがて、お菓子が空になると私の名前を呼ぶのです。
　何度目かの手を差し出され、お菓子を渡した後、長閑な保健室は打ち砕かれ、事件は起きました。

「保健室！」

　この高校で教えている教員兼ヒーローが扉を蹴破ろうかと言わんばかりに入ってきたのだ。

「そんなにお急ぎで、どうされたんですか？」
「大変だ！訓練中の1-aが敵と遭遇した！」
「なんだって！？」

　リカバリーガールは席を立ち上がり、私は持っていた消毒液の瓶を床に落とした。

「そ、それって……！」
「ああ、生徒たちに命の危険があるということ。今しがた学級委員の飯田が伝えに来た。オールマイトがすでに現場へ向かっている」
「……どうして敵なんかと」
「詳細は不明だが……とにかく！リカバリーガールとAはここにいてくれ。直に重傷者が運ばれる可能性が高い！」
「は、はいっ！」
「ここは私たちに任せて、アンタも早く行きな！ A、ベッドと点滴の用意だよ！」
「はいっ！」

　膝の上で呑気に寝ていたお菓子を放り出し、私はリカバリーガールの指示に従う。
　さっきまでの緩やかな時間が嘘のようで、彼女も書類を投げ出し、ぶつくさと文句を垂れながら足をすり合わせていた。かく言う私も、落ち着かず手をすり合わせていた。なんにせよ、落ち着く手段など鵜の目鷹の目で探しても落ちていないというのに、何かしていなければ落ち着かない。
　敵と戦うだなんて、ヒーロー科のみんなは大丈夫だろうか。命の危険なんてそんなもの……だ、誰かが死ぬかもしれないということ？思わぬ吐き気に口元を押さえた。

「A」
「はい……っ」
「変なことを考えるのはおよし」

　そうです、そうだよ。いけないいけない、あることないことは想像したところで意味がない。個性と同じだ。私は私にできることをしよう。そうお茶子ちゃんに伝えたばかりだというのに。
　脆い頭をリカバリーガールには見通され、私は気合を入れ直した。頑張って、ヒーロー科のみんな。その気持ちだけを頼りに。