【ヒロアカ】助けて、ヒーロー！【轟焦凍】 (ページ6)

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　ある時のこと。

「リカバリーガール、いますか？」
「デクくん」
「Aさんだけ？」
「うん、リカバリーガールはちょっとだけ席を外しているの。もうすぐ戻ると思うよ」
「そっかあ」
「デクくん、もしかして……怪我？」
「あ、いや、今回は僕じゃなくて……」

　リカバリーガールが会議で部屋を開けており、包帯や消毒液の補充をしていた私のもとに来たのはデクくん。
　彼の怪我はリカバリーガールも頭を悩ませていて、毎度毎度赤黒く変色した彼の傷を彼女は寂しげな瞳で見ていたもの。その彼が、今日はその用事ではないらしい。
　デクくんの後ろから来たのは、赤い髪と白い髪が特徴的な轟くんだった。彼は優秀と聞いているせいか、保健室に来るのは初めてのこと。
　轟くんは肘を押さえていた。どうやら、出血のよう。刃物を使われたのか、かなり深い傷だ。私は彼をベッドに座らせて、消毒液のある棚へ急いだ。

「大袈裟だ、緑谷」
「ダメだよ轟くん！止血してもらった方がいいよ」
「これくらい、どうってことねぇよ」
「と、とにかくAさん、轟くんをお願いできる？」
「任せて！応急処置にはなるけど、消毒して包帯を巻いておくね」
「ありがとう！」
「なんでお前が礼を言うんだ」
「ふふ、デクくんは優しいね」
「そ、そんなことないよ！じゃあ、お願いします」

　彼は顔を赤くしながら、逃げるように退室していった。そうして、轟くんの治療に入るわけだけれど、どうしてか彼は私を睨むように見ていた。
　デクくんと話していた時は緩んでいた表情は切島くんの硬化のように、ピクリとも動く気配がなく、私を観察するような冷たい視線が刺さる。いや、彼らはもっと痛いものを毎日経験しているのだから！こんなものでへこたれてどうする。私はやはり笑顔を作り、彼の腕を手にとった。