【ヒロアカ】助けて、ヒーロー！【轟焦凍】 (ページ47)

今日:7 hit、昨日:9 hit、合計:13,730 hit

46 ページ47

他のチームの試験の様子を見ながら、轟くんを見ていた。彼の様子がいつもと違うような気がするからだ。気のせいかな、気のせいであればそれでいい。僕はなんとなく気のせいではないと思うから彼を見ていた。
「A、手伝う」
「いいよいいよ。轟くんだって怪我してるし、ゆっくりしてて」
　轟くんはいやにAさんを目で追う。
　蛙吹さんと常闇くんが運ばれてきた時もだ。
「梅雨ちゃんも常闇くんも、傷だらけ……」
「無傷で勝てる相手ではない」
「それでも勝ったわよ。ね、常闇ちゃん」
　やはり轟くんはAさんを見ていた。
　轟くんのような冷静で時に傍若無人な人がまさか……？いやいや、しかし半冷半燃という個性と同じくして、彼は冷ややかな一面と熱い一面をもっている。飯田くんがヒーロー殺しに復讐を目論んだ時もだ。
「なりてぇもんちゃんと見ろ！」轟くんは、なりたいものを正面から見ている。だからただただ冷ややかなだけじゃない。飯田くんのため、飯田くんの信念のために戦った。

　だから、ちょっとだけ意外……と言えば、轟くんに失礼かもしれないけれど。

「A、次の患者だよ！」
「は、はいっ！」Aさんが僕らから離れていく。
「轟ちゃん」
「なんだ、蛙吹」
「私思った事を何でも言っちゃうの」
「だからなんだ」
「轟ちゃん、Aちゃんのこと、好きね」僕は固まった。
　ぼ、僕と同じことを考えている人がいた！しかも、蛙吹さん！彼女は状況判断能力が高いから、信憑性はあるんじゃないか！？やっぱり、そうだったのか！
「まあ、嫌いじゃねえな」
「そういう意味じゃないの。恋してるってことよ」
「恋……？」
　あ、蛙吹さん！それはさすがに言い過ぎだよ！ほら、轟くんだって愕然としているじゃないか！
「……恋、なんてもんはよくわかんねえ」
「ふふ、そのうちわかるわ。Aちゃんをよろしくね」
「あす……梅雨ちゃん！？よろしくしていいの！？」
「轟ちゃんなら、Aちゃんを守ってくれる。わかってるもの。ね、轟ちゃん」
「……守る。そうだな、Aは守らなきゃならねえ」
　ううん、轟くんはよくわかっていないような気がするけど……。頬をかいた僕の手が止まった。
　彼が、自分の両手を握りしめていたから。普段と変わらない無表情ながら決意を露わにした轟くんがそこにいた。
「ケロケロ」蛙吹さんは笑っていた。