【ヒロアカ】助けて、ヒーロー！【轟焦凍】 (ページ5)

今日:14 hit、昨日:9 hit、合計:13,737 hit

4 ページ5

.
　それからは忙しい日々の連続だった。雄英高校では、ヒーローの卵たる面々が命懸けの毎日を過ごしている。
　文字通り、私たちも命懸けであって。北に怪我人あれば飛んでいき、南に爆発あれば救護の準備。心休まる時間など雀の涙ほどしかありません。

「A、悪ィな」
「切島くんみたいな個性でも怪我するなんて、相当な訓練だったんだね」
「くっそー、爆豪のやつメチャクチャしやがって！」
「あっ、爆豪くんから付けられたものだったのね」

　しかし、そうこうしているうちに、ヒーロー科のみんなとも親密に話せるようになってきて。ヒーローの手助けがしたいと思い続けた私にとって、これほどの好機はなかった。
　ヒーロー科にはデクくん、お茶子ちゃん、飯田くんなど、とても強く頼れる個性をもった人がたくさんいる。私は、彼らの個性を見ることが好きだった。
　自分にはない個性。かっこいいな、欲しいな。悪者を倒すために、人を助けるために使われる個性。憧れです。
　今私が包帯を巻いている切島くんにも、デクくんにも、みんなにも私は憧れをもっていた。
　しかし、憧憬の先に個性が待っているはずもありません。ですので、私はこうして彼らの傷をひとつひとつ手で治療するのです。これが案外、楽しかったりします。

「おお、ありがとな！ A！」
「爆豪くんに負けないように、頑張れー！」
「誰が誰に負けねェようにだって？無個性女がエラそうな口叩いてんじゃねェ！」
「爆豪くん」
「ケッ、テメーは黙って治療さえしてりゃいいんだよ！」
「オイ爆豪！そんな言い方はねーだろ！」
「うるせェ！俺に負けたくせに指図すんな！殺すぞ！」
「まあまあ、ほら、爆豪くんも怪我しているんでしょ？腕貸して」