【ヒロアカ】助けて、ヒーロー！【轟焦凍】 (ページ40)

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私が回復してからしばらく、保健室には意外な人が度々訪れるようになったのです。

「Aさん」
「また来ちゃったわ」
「梅雨ちゃん、百さん！」

　私を敵とした実技の時の訓練者と護衛の二人、蛙吹梅雨ちゃんと八百万百さん。私は百さんの美しいスタイルにいつかの感触を思い出し、破廉恥な！と頭を振ることがしばらくの日課だったけれど、自分にもあるじゃない！と似ても似つかぬ貧相なもので煩悩を振り払い、最近はようやく慣れてきた。
　女性でよかったと思う最大の理由は、この頃ここに集結している。
　一方、梅雨ちゃんとは言葉を交わすことも多かったけれど、訓練後は「Aちゃんってなんだか謎が多そうね」と不思議な興味をもっていただけている。
　リカバリーガールもこの二人が来ると、決まって私を呼ぶ。さらに、百さんの個性に目をつけたのか「今日は米国のクッキーが食べたいわねえ」とねだるのだから、頼られ好きな百さんの扱い方を理解している、恐ろしい方です。

「Aさん、どうかお聞きください！」百さんはプリプリしながら私の手をとった。
「なあに？」
「私、クラスメイトに勉強を教えて欲しいとお願いされましたの！」
「八百万ちゃん、すごく嬉しそうだったものね」
「ええ！ご期待に添えるよう、努力いたしますわ！」
「百さんはすでにご期待以上だと思うけどなあ」
「いいえ、如何なる時にも向上心を忘れてはなりません」
「百さんが言うと説得力あるなあ」
「八百万ちゃん、勉強には引っ張りダコだものね」

　そうか、そういえばもう一学期の期末だった。
　私も年齢としては高校一年生。勉強は時々リカバリーガールから教わりながらしているものの、測る術がない。期末試験、筆記くらいは私も受けさせていただけないかな。
　授業は出ていなくとも大丈夫。だって、この二人がいるのですから。彼女以上の人類は血眼になって世界中を探したとしても見当たらないと、筋金入りの彼女信者である私は思うのです。そのリカバリーガールに、百さんという最強の先生。この無敵の布陣であれば向かうところ敵はない。まさに、頭の窮地を救うヒーローと言った具合だ。
　しかし、百さんの顔は物憂げだった。