【ヒロアカ】助けて、ヒーロー！【轟焦凍】 (ページ30)

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「百さん、よろしくね！」
「ええ。私、Aさんを護衛するために呼ばれたのですもの。誠心誠意、お守りいたしますわ」
「ふふ、守ってください。頼りにしてるね」
「…………！」
　彼女は手を握り締め、口に寄せた。愛嬌のある仕草に私は「百さんがプリプリしている……」とよくわからない動詞を作り上げたのです。でも、それくらい、その、同性の私から見ても十分なほど可愛らしいのだからずるい。
「ええ！お任せくださいませ！」
　百さんの笑顔が戦いの合図と重なった。

　梅雨ちゃんは壁に張り付いて、私と百さんの様子を見る。百さんは手に鉄性の長細い棒を構え、私を背に隠してくれた。
「カッコいいわ。Aちゃんがお姫様みたい」
「百さん……」
「Aさんには指一本触れさせませんわ！」梅雨ちゃんが舌を伸ばす。百さんはそれを容赦なく弾いた。しかし、彼女は器用に舌を使って動き回る。は、速い！背後を取られた！「それなら、八百万ちゃんからいくわよ」そして、背後から長い舌で百さんを捕らえてしまった。彼女は私から離れていく。
「百さん！」私は彼女のもとへ走り出す。「ごめんなさい、Aちゃん。そうはさせないわ」しかし、すぐさま舌を使って梅雨ちゃんが私の目の前に降りてきた。
　来てしまった、一番恐れていた場面……一般人の私とヒーローが対峙すること。こうなっては、手も足も出ない。「悪く思わないでちょうだいね、ケロケロ」悪くなんて思うものですか。やっぱり、梅雨ちゃんは強い。完敗だ。
　梅雨ちゃんの手が私の肩に伸びた。

　その時だった。
　私に触れようとした彼女の手に短剣が掠ったのだ。これには思わず彼女も手を縮こめる。
　短剣が来た方を見ると、腕を振り上げ、足に飯田くんとよく似た装備を付けた彼女がいた。百さんが投げたの？助けてくれたの？彼女の目は黒く煌々と、それであって鋭く梅雨ちゃんを見ていたのだ。

「蛙吹さん……。私、言いましたわよね」腕を下ろした百さんの体が光り始めた。
「Aさんには指一本触れさせないと！」

　そして、徐々に体の輝きが強くなっている百さんが、私と梅雨ちゃんに向かって弾丸のように飛んで来たのです。