【ヒロアカ】助けて、ヒーロー！【轟焦凍】 (ページ22)

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敵が固まった。拳が止まる。おそるおそる顔を上げると、敵は氷づけになっていた。なにこれ、どういうこと！？混乱する私を余所に、続いて氷ごと燃え上がった。見たこともない巨大な炎。氷は一瞬で溶け、敵もつられて溶けてしまった。

「っぶねェ……」

　振り返った先に私の足跡は見えません。腕に氷を纏わせ、白い息を吐く轟くんがいたのです。

「と、どろきくん……！？」
「……クソ親父が」彼は静かに私へ近づいてきた。
「どうしてここに！？」
「それはこっちのセリフだ。なんであんな危ねえとこにいたんだよ」
「たまたまだよ。今日はリカバリーガールから……」
「チッ……んなことを聞いてんじゃねえ。どうして逃げなかったのか聞いてんだよ」

　轟くんはいら立ちを露わにしながら私に詰め寄った。思わず私は後ずさる。彼は近づいてくる。

「それは……。私でも時間くらいなら稼げるかなって……」
「……死のうとしたのか」彼の顔が険しさを増す。
「そ、そういうわけでは……っ」
「他の奴を逃して、自分でなんとかしようとしたんだろ」

　不意に、轟くんが足を止めた。

「A、お前……泣いてねえな」
「えっ……」
「泣きそうなくせして、泣いてねえ」
　轟くんの顔は変わらず険しさを携えていた。ただ、泣きそうな顔にも見える。
「そんな顔すんなら呼べよ、ヒーロー」
「……ヒーローは、私より守るべきものがたくさんあるよ。私、無個性だし」
「なに言って」「大丈夫！」
　そう、私は平気。
「大丈夫。ヒーローの娘だし、悪運が強いのかも、ね」
　しかし、彼は私の腕を掴んだ。掴んで、引き寄せた。近づいた轟くんの表情は読み取れない。こんなにも近くにいるのに。彼は眉を寄せ、悲痛を訴えるような、それでいて懇願するような、叱責するような、そんな顔をしていた。

「そしたら、誰がお前を守るんだよ！」

　彼の声が私の全身に刺さる。

「呼べよ、ヒーローを！俺を！必ず守ってやるから！」