EPISODE.08 ページ8
-J-
「ねえ、北斗の話ずっと気になってるんだけど」
放課後、いつも一緒に帰る樹と慎太郎に昼休みの話を聞いた。
北斗と2人の間に何があったのか気になるし。
なぜか授業に北斗はいないし。
なんか気になるんだよね、北斗のこと。
「教えてよ、北斗のこと」
樹と慎太郎は顔を見合わせて、お互いにうなずいた。
「たいした話じゃないんだけどさ」
そう前置きして、樹が話だした。
「中学校のとき俺と慎太郎と北斗でいつも一緒にいたんだよね。
そこにもうひとりいて、風磨ってやつと4人でつるんでたんだけど。
その風磨が結構ノリが過剰になるときがあるって言うか、男子の悪ノリでさ、北斗に酷いこと言っちゃって」
「酷いこと？」
「みんなおまえのこと嫌ってるんだぜー、って笑いながら、みんなの前で。
冗談だったと思うんだけど北斗それ真に受けちゃって、それから暗くなっていったっていうか」
中学生の思春期まっただ中に、友達からそんなこと言われたら傷つくだろう。
周りからどう思われているのかを一番気にする時期だから。
そのときの北斗の傷ついた顔を想像すると、俺まで胸が痛むようだった。
「俺と樹もフォローしたんだぜ。北斗のこと嫌いじゃないよって。
ほんとに北斗嫌われてなかったし、むしろおしゃべりだし、女子にも人気あったしな。」
「北斗がおしゃべり？」
「そう。でもあのことがあって以来、誰ともしゃべらなくなって、俺らともつるまなくなって、…高校生になったら、愛想笑いを顔に貼り付けるようになってた…」
慎太郎が寂しそうにそう言った。
今の北斗と、2人の知っている北斗には大きな差があるのだろう。
俺の知らない北斗。
おしゃべりで、愛想笑いをしない。
「俺らももっと伝えればよかったんだよな…。北斗のこと好きだよ、大好きだって」
「うん…。恥ずかしくて言えなかったけど、伝えるべきだったな」
10代の俺たちの拠り所は友達で、その友達から嫌われたら、まるで全世界から嫌われたような感じがするんだ。
18歳となった今、もうそんなことはないけれど。
しんみりとする2人。
そんな空気を打ち消すように慎太郎が口を開いた。
「だから、ジェシーなら北斗のガチガチに鎖で閉じ込められた心をこじ開けられるんじゃないかって期待してるの」
2人ともまるで俺に託すかのように手を強く握られた。
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たむら(プロフ) - なつほく。さん» ありがとうございます。初めてコメント頂けてとても嬉しいです！これからもよろしくお願いします( ˘︶˘ ) (5月7日 19時) (
レス) id: 9b094e61db (このIDを非表示/違反報告)
なつほく。(プロフ) - はじめまして！ほくじぇの2人が好きで読ませて頂いています！！お気に入り登録もさせて頂きました！！これからの更新も楽しみにしています！！ (5月6日 23時) (レス) id: 77d33224f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たむら | 作成日時：2022年2月22日 22時
