EPISODE.24 ページ24
.
｢ずいぶん遠くまで来たね。見つけられてよかった｣
俺のとなりに座って、いつもと変わらないジェシー。
肩と肩が触れ合うほど近くにジェシーは座った。
｢……なんで、来たの……？｣
｢北斗、人混み久しぶりって言ってたから迷子になっちゃったかなーと思って｣
Ahahaとジェシーの声が暗い海に響く。
わざわざ探しに来たのだろうか。
俺がどこにいるのかなんて、行先なんて分からないはずなのに。
どれほど歩いて、どれほど探し回ったのか、ジェシーの草履が切れているのを見て気がついた。
ジェシーの体はホクホクと暑くて、冷えていた体を温めてくれるよう。
自然と口が動き出す。
｢……風磨に、お前はみんなに嫌われてるって言われてからさ……人と関わるの怖くなったんだ｣
｢うん｣
｢……俺は風磨の言う通りのやつだから……つまんなくて、周りをイラつかせるような…っ…｣
｢…………｣
話していて涙が溢れてきた。
なんでジェシーにこんな話をしているかも分からない。
いつもうるさいジェシーも、何も言わずに俺の話を聞いている。
｢……樹とか慎太郎……ジェシーが今は良くても、だんだん俺のこと嫌になって……嫌われるのが怖い……｣
心の底から漏れた本音。
涙と一緒にぽろぽろと言葉が漏れてくる。
いつかやって来る嫌われる日を想像して怯えながら過ごすよりも、最初から関わらない方が楽だ。
｢…だから、ジェシーたちとはもう……関わりたくない｣
自分の膝を抱えて顔を埋める。
ジェシーの顔を見るのが怖かった。
懇意にしてくれているのに、こんなことを言われたらジェシーはどう思うだろう。
もう関わりたくないなんて言われて、腹が立たないわけがない。
(このまま立ち去ってくれ……)
ジェシーが腹を立ててこのままいなくなれば、もう明日からはひとりぼっちで平穏な日々に戻れるのに。
ジェシーはとなりに寄り添ったまま、動く気配がない。
｢北斗、顔上げて｣
恐る恐る顔を上げると、優しく微笑むジェシー。
俺の涙をそっと拭う。
なんで、そんな顔で俺を見るんだろう。
俺はジェシーに酷いことを言っているのに、そんな優しい顔。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 172人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
たむら(プロフ) - なつほく。さん» ありがとうございます。初めてコメント頂けてとても嬉しいです！これからもよろしくお願いします( ˘︶˘ ) (5月7日 19時) (
レス) id: 9b094e61db (このIDを非表示/違反報告)
なつほく。(プロフ) - はじめまして！ほくじぇの2人が好きで読ませて頂いています！！お気に入り登録もさせて頂きました！！これからの更新も楽しみにしています！！ (5月6日 23時) (レス) id: 77d33224f0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：たむら | 作成日時：2022年2月22日 22時
