EPISODE.22 ページ22
-J-
夏休みも終盤になって、一番楽しみにしていた夏祭りの日。
北斗の浴衣姿は本当にかっこよかったし、前髪を上げると綺麗な目がとても目立って嬉しかった。
最初は渋々だった北斗も、徐々に表情が緩んでいって。
俺が射的でとったひよこのおもちゃをあげた時、笑顔を見せてくれて胸がキュンとした。
ラストの花火に向けて気持ちも昂っていた時。
風磨という男の出現で一気に空気は壊れた。
樹と慎太郎から話は聞いていたけど、風磨を見た瞬間、北斗の表情が強ばるのがすぐに分かった。
風磨からぶつけられる言葉の暴力。
北斗に対する悪意がこの人の心の中で渦巻いている。
北斗は何も言わずに立ち尽くして、風磨に何の反応も示さなかった。
樹と慎太郎が怒って風磨に向かうと、北斗は悲しそうな表情をして走り去ってしまった。
俺は何もせずにこの状況を見ていたわけだけど。
何もしなかったのではなく、怒りに震えていた。
こんなに誰かに対して怒りを感じたことがなかったから、自分でもどうぶつけていいのか分からなかった。
｢おい、風磨。いい加減にしろよ。北斗のこと傷つけて何がしたいんだよ！｣
｢なに、お前ら偽善者ぶって。昔からあいつのこと嫌いだったんだよ。こんな風に守ってもらえるしな。
お前ら北斗の子守りでもしてんの？ウケんだけどっ………！｣
北斗がいなくなった今もなお、減らず口を叩く風磨に、考えるよりも体が勝手に動く。
気づいたら風磨の胸ぐらを掴んで、グッと引き寄せていた。
風磨がギョッと驚いた顔をしていた。
樹と慎太郎もが心配しているのがわかって、大丈夫だと目配せする。
人なんて殴ったことはないし、暴力も嫌いだから。
｢だ、誰だよお前……｣
｢北斗のこと傷つけられて満足？北斗より上だって思えた？｣
｢あ……？｣
風磨の眉がピクっと上がって、俺の言葉に腹が立ったのが分かる。
風磨が北斗に向ける悪意は妬み嫉み。
自分が優位に立ちたいがために北斗を傷つける風磨を俺は許さない。
｢お前が北斗のこと嫌いかどうか知らないけど、俺らは北斗のこと好きだから。大好きだから。｣
｢……だから何だよ｣
睨みつけてくる風磨の胸ぐらを、両手で掴みあげると風磨が怖気付く。
二度と風磨が北斗に近づかないように釘をさしてやろうと思った。
｢北斗のこと傷つけたら絶対許さねえからな｣
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たむら(プロフ) - なつほく。さん» ありがとうございます。初めてコメント頂けてとても嬉しいです！これからもよろしくお願いします( ˘︶˘ ) (5月7日 19時) (
レス) id: 9b094e61db (このIDを非表示/違反報告)
なつほく。(プロフ) - はじめまして！ほくじぇの2人が好きで読ませて頂いています！！お気に入り登録もさせて頂きました！！これからの更新も楽しみにしています！！ (5月6日 23時) (レス) id: 77d33224f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たむら | 作成日時：2022年2月22日 22時
