EPISODE.13 ページ13
-J-
授業中、俺はずっと気が気じゃなかった。
それは樹と慎太郎も同じだったと思う。
がちがちに鎖で閉じ込められた北斗の心を、更に締め付けてしまった俺ら。
なんでこうなってしまうんだろう。
俺はただ、北斗と仲良くなりたいだけなのに。
授業が終わった瞬間、2人は鞄を持って俺のところにやってきた。
｢ジェシー行くぞ｣
｢え、どこに？｣
｢北斗の家だよ、あいつあの状態でひとりでいたらやばいって｣
｢え……なに、怖いこと言わないでよ｣
｢……今の北斗をひとりにしちゃダメだよ。早く行こ｣
妙に神妙で、少し焦る様な2人に俺の心がザワザワする。
やばいって、どういう意味だろう。
ひとりにしちゃダメって、2人は北斗の何を心配しているんだろう。
走る2人を追いかけて、北斗の家までやってきたけど当たり前に鍵がかかっている。
｢北斗！北斗！いるんだろ！｣
｢北斗！開けろ！｣
2人はドアをガンガンガンガン叩いて北斗を呼んでる。
まるで借金の取り立てみたいだ。
中からは何の反応もなくて、2人の焦りが見える。
俺は何も出来なくて、呆然と2人を見ているだけ。
樹が郵便受けの中を勝手に探って、鍵を見つけた。
そして鍵を開けて、勝手に中に入って行った。
俺はさすがに強引すぎるんじゃないかと思ったけど、洗面所に座り込んでいる北斗を見て、2人があんなに焦っていた理由が分かった。
｢北斗……｣
座り込んでいる北斗は、血だらけの左腕を抑えて俯いていた。
右手にはカッターを持っている。
俺はさあっと血の気が引いていくのが分かった。
｢北斗……おまえなにやってんだよ……｣
｢北斗馬鹿なこと考えんなよ、死なないでよ…｣
樹はタオルで北斗の左腕を包み込んで、慎太郎は泣きそうな顔でカッターを取り上げた。
｢北斗の馬鹿、馬鹿……死のうとすんなよ｣
慎太郎が北斗に抱きついて、すすり泣いている。
樹も泣きそうな顔だ。
北斗をひとりにしたらやばいって、そういうことだったんだ。
俺がどれだけ北斗を傷つけてしまったのか、すごく後悔した。
俺も座り込んで北斗と目を合わせる。
慎太郎に抱きつかれている北斗は呆然としていたけど、徐々に瞳が潤んでくる。
｢北斗……ごめんね、傷つけたね｣
北斗の綺麗な目から涙が1粒零れた。
俺はそれを自然と拭っていた。
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たむら(プロフ) - なつほく。さん» ありがとうございます。初めてコメント頂けてとても嬉しいです！これからもよろしくお願いします( ˘︶˘ ) (5月7日 19時) (
レス) id: 9b094e61db (このIDを非表示/違反報告)
なつほく。(プロフ) - はじめまして！ほくじぇの2人が好きで読ませて頂いています！！お気に入り登録もさせて頂きました！！これからの更新も楽しみにしています！！ (5月6日 23時) (レス) id: 77d33224f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たむら | 作成日時：2022年2月22日 22時
