EPISODE.11 ページ11
-J-
最後の6限目の授業前の休み時間。
3人でトイレでだべって、俺の席に3人で戻って北斗攻略作戦を考えていた。
｢今の北斗ぜんぜん分かんないな｣
｢あっ、空手やってたじゃん北斗もジェシーも！｣
｢おおお、それめちゃくちゃいいじゃん！2人で組手やれよ｣
｢いややらねーだろ。てか北斗って空手やってたの？意外すぎるんだけど｣
｢ファンクラブとかあったよな、キャーキャーされてさ、まあそれも男子から妬まれやすかったんだけど｣
｢ふーん…｣
空手の話から、樹と慎太郎は中学時代の思い出話を始めた。
根は暗いけどよく話すやつだとか、人見知りだけど打ち解けたら人懐っこいとか。
俺の知らない北斗の話ばかり聞いて、2人は本当に北斗と仲が良かったんだと思った。
｢俺も見たいなー……北斗の笑顔｣
俺がそうつぶやくと同時に、北斗が教室に戻ってきた。
北斗の話をしていた俺らは思わず黙る。
俺の後ろの席である北斗は戻ってくるなり鞄に教科書やら詰め込んで帰る準備を始めた。
｢え、あ、北斗帰るの？｣
｢うん｣
俺らの方をちらりとも見ずに返事をした北斗。
なんか、いつもと雰囲気がちがう。
いつもの愛想笑いはなく、だけど無表情の仮面を付けているみたい。
｢5限目もいなかったけど、体調悪いの…？｣
俺がそう聞くと、北斗は手を止めた。
そして、真っ直ぐと俺の顔を見る。
初めて、ちゃんと北斗と目が合った気がする。
真正面から見た北斗は、白くて、儚くて。
(……綺麗な目……)
｢俺の攻略ゲーム、楽しかった？｣
｢え………？｣
見惚れていた俺に、北斗から思いがけない言葉。
攻略ゲームという言葉を言われて、俺も樹も慎太郎も背筋が冷たくなった。
聞かれてた…、俺たちのトイレでの会話を。
しかも、最悪な、最低な伝わり方だ。
｢ちがっ、北斗そんな意味じゃなくて、攻略とか言っちゃったけど｣
慌てて話し出したのは2人の方だった。
俺は何も言えず、ただ言い訳を考える。
だけど、北斗が聞いてくれるはずもない。
｢頼むからさ、俺に関わらないでくれる？｣
俺らに冷たく言い放つと、北斗は鞄を持って教室から出て行ってしまった。
入れ違うように6限目の先生が入ってきて、俺らは何も言葉を発せないまま各々の席に着いた。
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たむら(プロフ) - なつほく。さん» ありがとうございます。初めてコメント頂けてとても嬉しいです！これからもよろしくお願いします( ˘︶˘ ) (5月7日 19時) (
レス) id: 9b094e61db (このIDを非表示/違反報告)
なつほく。(プロフ) - はじめまして！ほくじぇの2人が好きで読ませて頂いています！！お気に入り登録もさせて頂きました！！これからの更新も楽しみにしています！！ (5月6日 23時) (レス) id: 77d33224f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たむら | 作成日時：2022年2月22日 22時
