村上魚店。8 (ページ36)

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とはいえ、先ずは隆平の気持ちを聞かなアカンな。

店先でお客さんと喋ってたら、章大に手を引かれて帰ってくる隆平の姿が見えた。

紫「オトン、店は私が見てるからあの子らお願いね？」

黒「おん、混んだらすぐ呼んでな？」

いつもやったら店に顔出して、そのまま家に入るんやけど今日は自宅玄関から入っていった。

青「ただいまぁ」

緑「しょーちゃん！たぁくんとエイトレンジャーしよー！」

たつぅ！今日ばかりはめっちゃ感謝やわ！←

どこか元気のない隆平の後を追って階段を上った。

黒「隆平？入るで」

隆平はみんなの太陽やな！っていつも言うてるけど、今日ばかりは曇り空のように沈んでた。

黒「隆平、オトンに思うてる事聞かせてくれるか？」

コクっと頷いた隆平が、ポツリと話し始めた。

橙「僕…亮ちゃんにひどいこと言うて…そんな事言うつもりなかったのに…お魚さん…キライ言われて…許せなくなったんです…」

黒「まぁ…亮はホンマ好き嫌い多いからなぁ…魚も殆ど食われへんし…」

俺も雛ちゃんも甘やかしてきたつもりはないねんけど、亮はホンマもっとちっさい時から魚とか嫌いな物が多かった。

橙「僕…亮ちゃんに出て行けって…言うてしまったんです…」

隆平は人の気持ちがホンマにようわかるからこそ、自分の言うた事を後悔してるんやろな。

黒「なぁ隆平、あの言葉隆平が言うたやん？オトンかオカンが言おうと思っててん」

橙「…そう、なんですか…？」

黒「おん。隆平にむっちゃイヤな事言わせてごめんな？せやから亮にはオトンが悪かったわー言うて謝っておくわ」

優しい隆平にこれ以上暗い顔させるなんて、俺ら親としてアカンし。

もちろん亮にも笑っていてほしい。

黒「オトン亮迎えに行くからさ、隆平はめっちゃ美味い夕飯オカンと一緒に作っててくれへん？」

橙「……オトン」

黒「あ！せや、たつと章大にもおやつ食わしたってな？隆平のおやつは世界一やからな！」

橙「…ふふっ、オトンそれは言い過ぎですって」

やっと笑顔になった隆平にホッと一安心して、二人で居間に下りていった。

緑「りゅーちゃん、たぁくんな？めっちゃおなかペコペコなん！」

橙「ほな美味しーいおやつ、作りましょ！」