村上魚店。8 (ページ34)

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橙side

目を覚ますと隣にオカンがおった。

あれ…僕そんなに寝てたんかなぁ。

橙「オカン…」

紫「起きた？少し楽になった？」

多分今の時間はお店におるはずやのに、何で？

橙「オカン、お店大丈夫ですか…？」

紫「大丈夫やで、オトンに任せてるから。オカンもたまにはゆっくりせんとなぁ？」

オカンはきっと僕が起きた時、寂しいって思うからずっとおってくれたんや…

橙「オカン、僕…ホンマはほんの少しだけ風邪引いて良かったと思うてるんです」

オカンの事独り占めできるから。って言うたら、オカンが優しく頭を撫でた。

紫「ほなオカンも隆平の事独り占めやなぁ」

橙「ふふっ、オカン、ありがとうございます」

紫「何言うてんの、オカンこそありがとうやで？」

オカンと二人だけの秘密な？って言うて、おやつに僕の好きなみかんのゼリーを食べさせてもらった。

黒「隆平ー、大丈夫か？」

夕方、いつもより少し早くお店を閉めたオトンが様子を見にきてくれた。

黒「たつが見舞いするんや言うてたけど、亮に怒られて諦めてたわ(笑)」

橙「オトン、今日一日ありがとうございました…僕オカンの事独り占めできて幸せです」

黒「そおか、チビたちも隆平が元気ないと落ち着かへんみたいやで？」

…そっか…僕って必要とされてるんや…

橙「オトン、オカン…僕、必ずお店継ぎます。それから、このお店をこれからもずっと愛されるお店にしていきます！」

紫「頼もしいなぁ？オトン」

黒「ホンマやな。ほな隆平には一日も早く良くなってもらわんとな」

紫「そうやねぇ、隆平は家族の太陽やからね」

僕は兄弟の真ん中。

甘え方も下手くそで、けどお兄ちゃんで。

それでも僕は幸せで。

オトンにオカン、それから兄弟に囲まれて。

橙「オカン、産んでくれてありがとう」

今度風邪引いたら、また僕とオカンとでみかんのゼリー、食べましょ？

この後オトンが泣いたのは三人だけの秘密。

終