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部屋の鍵を受け取り、各自部屋に向かう。
「一番〜」
「一番って二人しかいないんだから」
「わ〜見て！オーシャンビュー」
全然聞いていない。
すっかり気持ちは観光気分らしく、忙しなく部屋の中を探索している。
「30分後にロビー集合だからね」
「はーい」
元気な返事が洗面所から聞こえてきた。
荷物を窓際のソファーに下ろし、そのまま腰を下ろす。
すると洗面所から佐久間が顔を出した。
「あべちゃん、ベッドどっちがいい？」
「壁側がいいな。佐久間はどっちがいい？」
「あべちゃん壁側がいいんでしょ？俺は窓側でいいよ〜」
洗面所から駆け寄って来て、そのまま自分のベッドにダイブした。
「うわっ！ふかふか〜！あべちゃんも寝てみなよ、気持ちいいよ」
「いや、俺は・・・」
正直お風呂に入る前の服でベッドに寝ることがあまり好きではない。
言い淀んでいると、佐久間は寝転んでいた体勢から座り直し真っ直ぐな目でこっちを見た。
「じゃなくて、ここ来なよ！
あべちゃんお風呂前にベッドで寝るの苦手でしょ？特別に佐久間さんのベッドで味合わせてあげよう」
得意げな顔をして自分のベッドをポンポンと手で叩き招き入れてくれた。
そんな佐久間がおもしろくて笑ってしまう。
「じゃあお言葉に甘えて、ふかふか具合を体験させてもらおうかな」
ソファーから腰を上げ、目の前にある佐久間のベッドに倒れ込んでみた。
「うわっ、本当にふかふか」
「でしょっ」
にひひと笑いながら俺の隣に佐久間が倒れ込んできた。
身長差があるためいつもなら少し見上げられる形になるが、今は同じ高さに目線が揃う。
「きもちーね」
佐久間がうつ伏せの状態から顔を動かしこちらを見た。
前髪が目に少しかかりその隙間から覗かせる目があまりにも艶めかしくて、思わず目が離せなくなる。
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作者名：なす | 作成日時：2022年11月27日 14時
