【完】梅 と 松【梅原裕一郎】

仲直り ページ8

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Aと帰宅して、ちゃんと落ち着いて話をした。全部西山から聞いたらしい。言うなよと思ったけど、こういう事が起こると嫌でも伝えなければいけないことを痛感した。出来れば言いたくなかった。

『ごめんね』
「いや、俺も悪かった」
『うめの気持ち何にも分かってないままキレて、私馬鹿だよね』
「伝えなかったのが悪いけどお前は馬鹿だな」
『ちょっと』
「でも、」

これを言ってしまっていいのか。
けど言わないと伝わらない。

「Aがそういう目で見られんの嫌なんだよ」
『…え』
「全然知らない奴にそういう目で見られてんだよ。嫌じゃん。俺もAも」
『ま、まぁ…それは嫌だ…』

見られるのが嫌だからといって、声優を辞めろとは言えないけど、それだけは分かってて欲しかった。難しい問題ではあるから解決策なんて無いんだろうけど。

『心配してくれてありがとう…』
「分かってくれたならいい」
『うめはほんと私のこと大好きだね』
「そうだけど」
『え』

いつもなら「調子乗るな」とか言ってたけど、今日は言わなかった。

「お前が思ってる以上に俺はAのこと好きだよ。だから付き合って結婚したんだから」
『な…急にそういうこと言われると…』
「照れんな」
『だっていつもそうやって言ってくれないじゃん』
「言わないだけで思ってんの」
『言わないと伝わらないんだよー！』

その通りである。
こうして初めての夫婦喧嘩は幕を下ろした。
Aは風呂へ行った。冷静に話し合えたし、このあと仲直りしてすることは一つ。

『ただいまぁ』
「髪乾かして、早く」
『えっ、なんでそんなに急いでるの…眠い？』
「眠くない」
『じゃあなんで？』
「分からない？」
『うん…』

本当に分からなそうな顔をしている。どこまで純粋なんだ。なら分からせてやるしかない。
耳元で囁いたら、顔を真っ赤にして、バスタオルを投げつけてきた。それをキャッチしてその辺に放り投げたあと、Aを抱きかかえて寝室へ行った。
髪乾かしてないけどそれは許してほしい。

ひょろっと→←世話が焼ける

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