【完】梅 と 松【梅原裕一郎】

大好きだし ページ40

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買い物にヨシキくんも一緒に行った日、帰ってきてご飯も作ってくれた。せめて洗い物は私がしようと思ってキッチンへ向かった。ヨシキくんは目をキラキラさせながら今日買ったものを見ている。うめはお風呂を洗いに行った。

『ヨシキくん今日はありがとうね』
「いつも世話になってるから。お礼」
『そんなことないのに〜。産まれたらいっぱい遊んであげてね』
「当たり前じゃん！早く遊びたいわ〜」
『ふふ。さ、洗い物しよ』

左手の薬指につけてる指輪を外そうと思ったけど抜けない。なんでだ。ここだけ急に太った？

『いてて…』
「大丈夫？何が痛い？腹？大丈夫？」

タイミング良くうめが戻ってきてキッチンにきた。
ヨシキも見にきてなんか恥ずかしい。

『や、浮腫んで指輪抜けなくなった』
「え！？」
「嘘でしょ？」
『痛い痛い！泣くぞ！？』
「指輪 抜けないで調べたらさ、色々出てきたよ」

ヨシキが調べてくれたものを元に試してみることにした。ちょうど洗い物をしてたから洗剤を手に塗りつけてやってみると意外とすんなり抜けた。

『あ、抜けた』
「びっくりした。焦ったわ」
「けど毎回それすんの大変だね。食洗機買ったら？」
「買おうか。今まで外食多かったから要らなかったけど、子ども産まれたらそうもいかなくなるでしょ」
『そうだね。てか指輪しない方がいいのかな』

もらってからずっと外さずに大切にしてきたこの指輪。最初は慣れなかったけど、今では無いと落ち着かない。小指だと大きすぎるし、やっぱり薬指がちょうどいい。

「そんな寂しそうな顔すんな」
『だってずっとあったんだもん…』
「また梅が買ってくれるって」
『そういうことじゃないの〜』

代わりがあればいいという問題ではないのだ。
指輪の内側にはうめの名前が刻まれている。逆にうめがしてる指輪の内側には私の名前がある。

『毎回洗剤でやっていいからずっと指輪しときたい』
「んー…手荒れるからなそんなことしたら」
「あ、ハンドクリームでもいいって書いてある」
「それ先に言ってよ。じゃあ良いハンドクリーム買っとく」
『えへへ、ありがとう。好き』
「わ、目の前でイチャつかれた。マウントだ」
「いいだろ」
「見るのしんどいしゲームしよっと」

そう言ってリビングに戻ったヨシキくん。うめも一緒に行こうとしたけど立ち止まった。どうしたんだろう。

『うめ？』
「俺は大好きだけどね」

ぼそっと、だけどちゃんと聞こえるように言ってくれた。私だって大好きだし！

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