梅 と 松【梅原裕一郎】

癒し ページ42

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泊まりのロケが終わって東京に帰ってきた。自分ん家に帰るには少し時間がかかるし、Aと初日以来話してないからAん家に来た。
インターホンを鳴らしたらびっくりしていて何故かオートロックを開けずに切られた。

は？と思いつつ待ってたら自動ドアが開いた。Aが出てきて閉まったら困るから先に中に入った。

『ねえびっくりするじゃん！なんで来るって言ってくんないの！』
「来たら困ることあんの？」
『ない！でも嬉しすぎて困る！』
「はいはい。うるさいから部屋行くぞ」
『あっねえ待って待って』

本当にうるさかったから先に向かった。Aの部屋に着いて、フローリングに座って荷解きをしてたら後ろから抱き着かれた。

「なに」
『久しぶりだなって。えへへ』
「重たいから退いて」
『やだ！離れない！寂しかったんだよ！』
「仕事なんだから仕方ないだろ」
『ん〜そういうとこ好き！』
「はぁ…分からん」

前にも会わない時期はあったけどこんな感じにはならなかった。まあ『なんで帰ってきたの？』と言われるよりかはマシかと思った。

「あ、これお土産」
『うわー！ありがとう！めちゃくちゃ嬉しい！』
「そんなに喜んでくれんだ」
『だってこれ食べたかったって言ってたもん！』
「そうだった？知らね」
『うう〜嬉しいからチューしちゃう』
「うぜえまじで」

知らねえとは言ったけどちゃんと覚えてはいた。
それを正直に言うとまたうるさくなりそうだから言わなかったけど。
ベタベタ引っ付いてくるAを引き剥がして風呂に入った。

戻ってきたら早速渡したお土産のお菓子を食べていた。

「夜中に食っていいの」
『うめがくれたからカロリーゼロなの！』
「なんだそれ。俺も食お」
『めちゃくちゃ美味しいよ！はいどうぞ』
「どうも。あ、美味いわ」
『でしょでしょ！これはね〜』

まるで生産者かのように特徴を話してくれたけどあんまり聞いてなかった。
さっきまではうるせえとしか思ってなかったけど、だんだんこういうのを求めていたと思い始めた。
自分が思ってる以上に、Aのことが好きなんだと改めて感じた。

「今日は早く寝るか」
『うん？なんで？』
「なんとなく。疲れたし。癒しが欲しい」
『私はうめの癒しになれる？』
「もうなってる」
『え！』
「ほら、歯磨きしろ。虫歯になる」
『も、もう1回言ってください！』
「言わない」
『うめ〜！』

こういう所が好きなんだろうな。

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