unexpected *１３１ ページ46
『.....Aの、『副作用』は、いつ出るかって』
いつか聞いた、ハンジの言葉を思い出した。
あ「嫌だ、こんなことしたくない、こんな、こんな……」
リ「……」
既に正気では、無いのだろう。
その「欲」に抗おうと必死に戦い、けれど抑えることも出来ず、それでも他者を傷つけまいとした結果が、この腕なのだと悟る。
あ「ーー食べたい。違う、食べたくない、……嫌、苦しい、痛い、……頂戴、何か、何でもいいから、何か食べたいんです、お願い、お願いします、私を、私は……」
リ「……」
落ち着け、と言ったところで、どうにかなる問題ではない。
かける言葉などなく、拘束したままAの吐くうわ言を聞いていた。
あ「……リヴァイさん」
やや沈黙をし、一呼吸おいて、Aは俺を呼んだ。
その声はいつものしゃんとした声で、先程失っていた正気を取り戻したのだと気づく。
リ「なんだ」
あ「殺してくれませんか」
ここに来てから一番冷静な声で、Aは言った。
思わず、Aを拘束していた力が緩む。
しかし、Aはそれを振り払って抵抗しようとはしなかった。
いつの間にか焦点があっていた青い瞳は、じっと真っ直ぐ俺を見据えていた。
そのまま、するりと俺の腕を抜けて、その場で姿勢を正して、頭を下げた。
あ「殺して、ください」
涙声だった。
頭をあげることはなく、床に額を付けながら、Aは言った。
床に揃えて付いた手、そして腕からは依然として血が流れている。
もう、治癒能力が機能していないのだと、物語っていた。
リ「……」
あ「支給される食糧だけだと、もう、駄目みたいなんです。……水でも、食べ物でも、全然足りなくて……」
あ「でも、今、一番不足しているのは食糧じゃあないですか。はは、私だけ特別に多く……なんてのも、無理な話でしょうし」
あ「……部屋の外で見張ってくれている兵士さんを、いつも、いつも気付くと見つめていて」
あ「口の中の唾がいっぱいでて、お腹も鳴ってて、腕が兵士さんの方に伸びて」
あ「…………あ、」
言葉が途切れた。
泣いているんだと、分かった。
小さな背中が、狭い肩が、震えていて。
それでも必死に、自分の意志を伝えようと口を開いた。
あ「……私、巨人に、なんて、なりたく、ない……」
ぽた、と。
静かな部屋には、Aの涙が、床に滴る音でさえ、大きく反響した。
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柚音(プロフ) - サンゴさん» お返事遅くなってすみません！ありがとうございます！ゆっくりとですが完結まで書き終えられるように頑張ります！コメントありがとうございました！！ (2019年1月20日 3時) (
レス) id: ba4520d13c (このIDを非表示/違反報告)
サンゴ - 続きめっちゃ気になりますっ！！ (2019年1月17日 22時) (レス) id: f7865afa83 (このIDを非表示/違反報告)
サンゴ - 話が深くて読んでいて面白いです！ (2018年11月19日 18時) (レス) id: f7865afa83 (このIDを非表示/違反報告)
柚音(プロフ) - 赤間利衣さん» あけましておめでとうございます！閲覧頂きありがとうございます！更新頑張ります！ (2018年1月2日 1時) (レス) id: ba4520d13c (このIDを非表示/違反報告)
柚音(プロフ) - ちさきさん» あけましておめでとうございます！コメントありがとうございます、更新頑張ります！ (2018年1月2日 1時) (レス) id: ba4520d13c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柚音
| 作成日時：2014年5月20日 19時
