検索窓
今日:8 hit、昨日:0 hit、合計:32,088 hit

其の捌拾捌 冨岡さん43 ページ38

けれど握られた手は冨岡さんに掴まれたままで。

恥ずかしいやら緊張するやらで私の声は震えていた。



「どうして……」

「舐めれば止まると言ったのは桜じゃないのか?」



冨岡さんは、『だから試した』『なにか問題でもあるのか』そう言いたげな表情で私を見ている。



「止まったな」

「あ…………」



冨岡さんが傷口を見るのと同時に私もそこを見ると確かに血は止まっていた。

なのに、胸のドキドキは止まる気配がなくて。

冨岡さんは純粋に止血してくれただけで変に意識しすぎたのは私だけで、こんな風に思うのもよくないんだろうけど。

男の人にこんなことされた経験がない私には刺激が強すぎる。



「ありがとうございました……」



免疫不足に冨岡さんの顔を直視できなくて、目をそらしたままお礼を言った。


冨岡さんからの反応がなくて、どうしたのかと思って思わず視線を向けてしまったのがいけなかった。

だって冨岡さんの熱い双眸が自分に向けられているなんて思わなくて。

深い海の底のような蒼色は変わらないのに、その瞳の奥にあるものは情熱的に見えて。

まるで捕食者に捕らわれたかのように動けなくて目もそらしたいのにそらせない。

それは肉食動物に追い詰められたときの獲物の最期のようで。

そんな冨岡さんの表情(かお)を見ていると胸の鼓動が激しくなって息をすることも忘れそうだった。

其の捌拾玖 冨岡さん44→←其の捌拾漆 冨岡さん42



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.5/10 (34 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
56人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 冨岡義勇 , 煉獄杏寿郎   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

桜花(プロフ) - (あ、打ち間違いが……すみません(^^;)胡蝶、宇髄が呼んでる。珍しいな。二人で任務か? (2021年7月21日 23時) (レス) id: 12e45606b3 (このIDを非表示/違反報告)
義勇と杏寿郎推し - 聞いてますよ。そんな所から長々と話されても困ります。嫌がらせでしょうかあと、2年前じゃないんですか。そんなだからみんなからきら………。ド派手にお邪魔する!胡蝶、ここにいたのか。探したぞ!胡蝶しのぶと宇髄天元様じゃ! (2021年7月21日 6時) (レス) id: 2a3c5f3e4e (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 義勇と杏寿郎推しさん» いや、だから言おうとした。炭治郎と出会ったのは三年前のことで…………胡蝶聞いてるか? (2021年7月20日 22時) (レス) id: 12e45606b3 (このIDを非表示/違反報告)
義勇と杏寿郎推し - それで炭治郎君に会ったんですね!なんであの時私に言わなかったんですかね。気になります。今度から気になることがあったら、言ってくださいね。胡蝶しのぶです。これからも頑張ってください。 (2021年7月20日 6時) (レス) id: 2a3c5f3e4e (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 義勇と杏寿郎推しさん» 懐かしいな。あれ以来、おまえはよく頑張っていると思う。 (2021年7月17日 23時) (レス) id: 12e45606b3 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:桜花 | 作成日時:2021年6月18日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。