其の陸拾捌 冨岡さん33 ページ18
「桜の拾ノ型は己の体に負担をかけすぎる。おまえの師範として今後の使用を禁止する。
できることなら、治癒も控えてほしいぐらいだが……」
「………………」
もう一度、冨岡さんから釘を刺すように言われた私はすっかり意気消沈してしまった。
最強と思っていた技も、治癒も肝心な時に役に立たないなんて。
「むろん、おまえの能力には常日頃から感謝している。だが、それがおまえの負担にはなってほしくない。俺はおまえに、自身も大切にしてほしいと思っている」
「……っ、」
冨岡さんの言葉に私はハッと息を呑んだ。
私は、もう誰かが大切な人を失って悲しむ姿なんて見たくなかった。
誰かを助けるためには、自分の命を懸けてもいいとさえ思っていたのだ。
家族も友達も鬼に殺された私には、もう失うものなんてなにもないから。
なのに、冨岡さんはそんな私に『自分を大切にしてほしい』とそう言ったのだ。
ただ禁止するだけではなく、そこまで私の身を案じてくれているのは素直に嬉しかった。
「その身を犠牲にしなくてもできることはある」
「……………そうですね」
冨岡さんの優しさに今は頷いた。
それを見た冨岡さんが満足したように、少し笑ったような気がした。
「話は以上だ。休むといい」
「はい」
冨岡さんが帰ったあと、私は布団を頭からかぶって頭を悩まさせていた。
この短時間であまりにも多くの情報を知りすぎた。
それも、自分の能力でありながら、好き勝手に使うことができないという。
冨岡さんは二度と使うなと言っていたけど、修行を積むことで症状は改善されたりしないのだろうか。
誰に相談すればいいのか、どうすれば答えは出るのだろうか。
一人そんなことを悶々と考えていた。
56人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桜花(プロフ) - (あ、打ち間違いが……すみません(^^;)胡蝶、宇髄が呼んでる。珍しいな。二人で任務か? (2021年7月21日 23時) (レス) id: 12e45606b3 (このIDを非表示/違反報告)
義勇と杏寿郎推し - 聞いてますよ。そんな所から長々と話されても困ります。嫌がらせでしょうかあと、2年前じゃないんですか。そんなだからみんなからきら………。ド派手にお邪魔する!胡蝶、ここにいたのか。探したぞ!胡蝶しのぶと宇髄天元様じゃ! (2021年7月21日 6時) (レス) id: 2a3c5f3e4e (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 義勇と杏寿郎推しさん» いや、だから言おうとした。炭治郎と出会ったのは三年前のことで…………胡蝶聞いてるか? (2021年7月20日 22時) (レス) id: 12e45606b3 (このIDを非表示/違反報告)
義勇と杏寿郎推し - それで炭治郎君に会ったんですね!なんであの時私に言わなかったんですかね。気になります。今度から気になることがあったら、言ってくださいね。胡蝶しのぶです。これからも頑張ってください。 (2021年7月20日 6時) (レス) id: 2a3c5f3e4e (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 義勇と杏寿郎推しさん» 懐かしいな。あれ以来、おまえはよく頑張っていると思う。 (2021年7月17日 23時) (レス) id: 12e45606b3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:桜花 | 作成日時:2021年6月18日 22時