其の陸拾参 冨岡さん２８ ページ13
体がだるくて立てた膝にうなだれた時。
「……ん……」
「っ！？」
声がした方に顔を向けた私は驚いて目を見開いた。
すぐ傍に冨岡さんがいたからだ。
上半身をベッドに預けて片方の腕に顔を乗せ目を閉じている。
(………寝てる？)
いつから？
まさか、ずっと傍にいてくれてたなんてことは……。
忙しい合間をぬって来てくれたのかな。
なんだろう、この嬉しいような申し訳ないような気持ち。
胸がドキドキして、その奥があったかくなっていくような気がした。
起きる様子のない冨岡さんの顔をそっと覗き込んだ。
寝顔、初めて見たな。
男の人なのにキレイな顔をしてるし。
睫毛も長いし。
穴が空きそうなほどジーっと見てるけど起きる気配がないのを見て、冨岡さんも疲れてるんだろなと思った。
冨岡さんは稽古に任務に見回りに、やることが山のようにあって普段から大変なのを知っている。
それに昨日の任務は激務と言ってもいいんじゃなかろうか。
だからこそ私が頑張ってよかったと本当に思えた。
その結果、私がぶっ倒れることになって、こうして冨岡さんを付き合わせてしまったことは申し訳ない。
せめて、今だけでもゆっくり寝てほしい。
といってもこの体勢では体を休めることにはならないだろうけど。
それにしても、窓から吹き込む風が気持ち良くて、なんとものどかな時間だ。
穏やかな気持ちで冨岡さんの寝顔を見ていると、ピクリと睫毛が揺れて閉じられていた目がうっすらと開かれた。
「冨岡さん？」
寝起きの冨岡さんは目がとろんとしていて、男の人なのに子供みたいでかわいいと思ってしまった。
そんな冨岡さんは、焦点の合わない瞳で私のことをじっと見ている。
「………桜？」
私の名前を呼ぶと同時に、私が起きていることに気付いた切れ長の目がハッと大きく見開かれた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 56人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桜花(プロフ) - (あ、打ち間違いが……すみません(^^;)胡蝶、宇髄が呼んでる。珍しいな。二人で任務か？ (2021年7月21日 23時) (
レス) id: 12e45606b3 (このIDを非表示/違反報告)
義勇と杏寿郎推し - 聞いてますよ。そんな所から長々と話されても困ります。嫌がらせでしょうかあと、2年前じゃないんですか。そんなだからみんなからきら………。ド派手にお邪魔する！胡蝶、ここにいたのか。探したぞ！胡蝶しのぶと宇髄天元様じゃ！ (2021年7月21日 6時) (レス) id: 2a3c5f3e4e (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 義勇と杏寿郎推しさん» いや、だから言おうとした。炭治郎と出会ったのは三年前のことで…………胡蝶聞いてるか？ (2021年7月20日 22時) (レス) id: 12e45606b3 (このIDを非表示/違反報告)
義勇と杏寿郎推し - それで炭治郎君に会ったんですね！なんであの時私に言わなかったんですかね。気になります。今度から気になることがあったら、言ってくださいね。胡蝶しのぶです。これからも頑張ってください。 (2021年7月20日 6時) (レス) id: 2a3c5f3e4e (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 義勇と杏寿郎推しさん» 懐かしいな。あれ以来、おまえはよく頑張っていると思う。 (2021年7月17日 23時) (レス) id: 12e45606b3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：桜花 | 作成日時：2021年6月18日 22時
