其の弐佰玖拾玖 遊郭編15 ページ48
それは、消えた四人を諦めるということかーー・・・いや諦めざるを得ないというのが本当のところだろう。
天元は花街に潜む鬼を殲滅することだけを目標に変えたように思えた。
「お断りします。みんなのこと諦めきれません!私は最後まで宇髄さんにお供します」
「だったら俺たちも・・・・・・!!」
「恥じるな。生きてる奴が勝ちなんだ。機会を見誤るんじゃない」
「お願いします。諦めたくないんです、誰のことも・・・」
「・・・・・・・・・気持ちは有難いがだめだ。冨岡には事情が変わった旨の手紙を送っておく。じゃあな」
「宇髄さん!!!!」
桜が止める間もなく天元は姿を消してしまった。
天元に願いを聞き入れてもらえなかったことに桜はガクリと肩を落とした。
帰りたくなんかなかったーー・・・このまま仲間を放って帰れるわけがない。
「・・・・・・俺達の階級が下すぎるから信用してもらえなかったのかな・・・」
「逆ですよ」
眉を八の字に下げ情けない声で話す炭治郎を励ますように桜は声をかけた。
天元の様子だと、善逸を嫁と同じような目に遭わせてしまったことを酷く後悔している様子だった。
「炭治郎くんも伊之助くんも、宇髄さんは信用しているからこそ同行の許可をしたんです。でも事は宇髄さんの思惑を大きく超えてしまっていた。私たちを善逸くんと同じ目に遇う前に危険から回避させたいんです、きっと・・・・・・」
それならば余計にノコノコと帰れないーーと、それを聞いた炭治郎と伊之助は顔を見合せて頷いた。
この任務に同行を求めたのは自分たちだ。
例え自分たちの身に何かが起きても、その責任を天元が感じる必要はない。
瞳の奥に燃える炎を宿した二人の目はそう言っているように桜には見えた。
それに、炭治郎も伊之助も大事な友達である善逸が行方不明になっていると聞いたのに、はいわかりましたとホイホイ帰れるような薄情な性格でもなかった。
できることなら最後までやり遂げたいというのは、この場にいる誰もが思っていることだろう。
「やっぱり俺も残ります」
「私も同じ気持ちです」
「最後までやろうぜ!」
善逸たちを助け出して必ずみんなで帰る!
まだ善逸は生きていると信じて自分たちにできることから始めよう。
「まず、伊之助くんは“荻本屋”で待機していてください。夜に合流しましょう」
「俺のトコに鬼がいるって言ってんのに今から来ねーのか!?」
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風花 - 桜花さん、お久しぶりです。覚えて頂けていますでしょうか?久しぶりにニヤニヤしながら一気に読んじゃいました(笑)これからも更新を楽しみにしています(*^^*) (2023年4月12日 4時) (レス) id: 0f5aae934e (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 義勇とリヴァイ推しさん» 更新亀より遅いのに通っていただき、ありがとうございます( o̴̶̷᷄ ·̫ o̴̶̷̥᷅ )義勇さん、きっと不死川さんも喜ぶと思います。でも、喧嘩はしないでくださいね( *´꒳`*) (2022年4月30日 13時) (レス) id: 16cf354de0 (このIDを非表示/違反報告)
義勇とリヴァイ推し - 不死川…俺の継子に(稽古してくれた)ようだな…。感謝する…。後で、懐にお萩忍ばせて(おいて)あげよう。義勇と杏寿郎推しから“義勇とリヴァイ推し”になった。中の人は一緒だからな。冨岡義勇だ。ゆっくりで良いから頑張ってくれ…。 (2022年4月25日 20時) (レス) @page33 id: 39583b605b (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 義勇と杏寿郎推しさん» お久しぶりです(^^)ずいぶんと更新がストップしていて、すみません。まだまだ亀更新ですが、頑張ります! (2022年3月19日 19時) (レス) id: 16cf354de0 (このIDを非表示/違反報告)
義勇と杏寿郎推し - むっ!冨岡と夢主いつのまにか仲良くなっているではないか!!これから、この2人が恋仲になりそうだな!!炎柱、煉獄杏寿郎だ!これからも頑張ってくれ!! (2022年3月14日 6時) (レス) @page23 id: 3737ce31ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜花 | 作成日時:2022年1月10日 11時