其の弐佰伍拾伍 無限列車編52 ページ5
なおも再生して踏み潰そうとする猗窩座よりも前に、杏寿郎が素早く桜を抱き上げ炭治郎達のところまで飛び退いた瞬間、猗窩座の脚が今まで二人がいた地面にめり込んだ。
(なぜこんなことが起きる!?頚は弱点ではないのか!?)
杏寿郎は炭治郎たちの傍で桜をそっとおろす。
「ありがとうございます・・・・・・助かりました」
「お互い様だ」
桜が斬ってくれていなければ、危なかったのはこちらだった。
弱々しくお礼をする桜に杏寿郎が口元を緩め笑うと、桜もうっすらと笑みを浮かべた。
「ぅ・・・っ・・・・・・」
「桜!?どうした!?」
突然、急に胸を押さえて苦しみはじめた桜に、杏寿郎は取り乱す。
呼吸も苦しげで、額に滲み出ている脂汗がいくつも頬に流れ落ちているのだ。
様子のおかしい桜に、炭治郎も伊之助もオロオロしていた。
「私は、大丈夫・・・・・・ですから。それよりも・・・・・・上弦の参をっ・・・!!」
なんとかしないと!
息も絶え絶えにそう紡ぐ桜の視線の先を杏寿郎たちも見ると、猗窩座の体が術式展開を繰り出そうとしているところだった。
「猪頭少年。桜と竈門少年を頼む」
「お、おう・・・・・・」
「煉獄さん・・・?」
杏寿郎だって決して軽い怪我ではないだろうに、一人で行こうとする彼を桜は心配そうに見つめた。
「大丈夫。心配せずあとは俺に任せて君は休むんだ」
宥めるように言いながら、杏寿郎は煉獄家でもただ一人、柱しか羽織ることの許されていない大切な羽織を桜の肩にかけた。
それでもまだ不安そうな表情の桜に杏寿郎は眉尻を下げ小さく笑い身を翻した。
すでに猗窩座の頚は切断面が閉じている。
(頚を斬っても死なぬとは・・・・・・!)
杏寿郎は急いで日輪刀を拾い上げると強く握った。
「炎の呼吸 壱ノ型 不知火!!」
力強く踏み込み刀身に炎をまとわせた刃で袈裟斬りし阻止しようと試みる。
だが、いくら猗窩座の体を深くえぐっても、すぐに修復されてしまう。
(頭を無くしてなおこの速さで再生するのか!!)
脅威の再生スピードに杏寿郎も驚きを隠せない。
頚を斬っても死なないなら太陽の下にさらすしかない。
もうすぐ月が沈み、陽が昇る。
それまでは、とにかく桜たちに近付けないようにすることだけだ。
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風花 - 桜花さん、お久しぶりです。覚えて頂けていますでしょうか?久しぶりにニヤニヤしながら一気に読んじゃいました(笑)これからも更新を楽しみにしています(*^^*) (2023年4月12日 4時) (レス) id: 0f5aae934e (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 義勇とリヴァイ推しさん» 更新亀より遅いのに通っていただき、ありがとうございます( o̴̶̷᷄ ·̫ o̴̶̷̥᷅ )義勇さん、きっと不死川さんも喜ぶと思います。でも、喧嘩はしないでくださいね( *´꒳`*) (2022年4月30日 13時) (レス) id: 16cf354de0 (このIDを非表示/違反報告)
義勇とリヴァイ推し - 不死川…俺の継子に(稽古してくれた)ようだな…。感謝する…。後で、懐にお萩忍ばせて(おいて)あげよう。義勇と杏寿郎推しから“義勇とリヴァイ推し”になった。中の人は一緒だからな。冨岡義勇だ。ゆっくりで良いから頑張ってくれ…。 (2022年4月25日 20時) (レス) @page33 id: 39583b605b (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 義勇と杏寿郎推しさん» お久しぶりです(^^)ずいぶんと更新がストップしていて、すみません。まだまだ亀更新ですが、頑張ります! (2022年3月19日 19時) (レス) id: 16cf354de0 (このIDを非表示/違反報告)
義勇と杏寿郎推し - むっ!冨岡と夢主いつのまにか仲良くなっているではないか!!これから、この2人が恋仲になりそうだな!!炎柱、煉獄杏寿郎だ!これからも頑張ってくれ!! (2022年3月14日 6時) (レス) @page23 id: 3737ce31ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜花 | 作成日時:2022年1月10日 11時