其の弐佰捌拾肆 不死川実弥3 ページ33
「格闘と言いますか、煉獄さんと共闘したと言っていいのかも・・・・・・」
「生意気にも謙遜か?煉獄一人の力で勝ったのか?」
「そうですね。猗窩座に関しては煉獄さんお一人です」
きっぱり言い切った桜に実弥は大きく息を吐いた。
謙遜をしてるわけではなく、それが桜にとっての真実だった。
猗窩座にダメージを与えたのは杏寿郎であり、自分は最後の美味しいところだけをいただいたようなものだから。
手柄の横取りというのが一番いい表現だと思う。
それなのに、それを共に戦い勝ったと言いきってよいのかと、桜の表情に影が射した。
「なに辛気臭ェ顔してやがる。おまえも戦いに加わってたんだろォが。てことはだなァ、それはおまえが勝ったってことでいいんだよォ」
「・・・・・・いいんですかね?」
「煉獄も俺も認めてるんだ。素直に認めろ、バカがぁ」
実弥の言葉に桜は目を丸くした。
頭に実弥の手が乗せられたかと思えば次には乱雑にワシャワシャと頭を撫でられた。
少し乱暴だけど、これが彼なりの優しさなのだと気付き桜は頬を緩めた。
誰かに認めてもらえるというのは、どんな時でも、どんなことでも、どんな言葉でも嬉しかった。
冷たくて乱暴な人としか思っていなかった実弥のイメージが、桜の中で既に変わっていた。
「不死川さん、ありがとうございます」
「ケッ!」
不死川実弥、本日二度目の照れ隠し。
ふんわりと笑った桜の笑顔を見た実弥は照れ臭そうに顔をそらすと立ち上がった。
「まァ、せいぜいこれからも頑張るんだなァっ!!」
実弥は去り際にそう言ってくれた。
かけられて嬉しい言葉をまさか実弥からこんなにも聞けるなんて思わなくて。
ただただ冷たい人だと思っていた自分を恥じた。
(あ・・・)
そういえば、柱合会議でのことを謝っていなかったことを思い出した。
「不死川さん!柱合会議のときのことなんですが・・・・・・!!!」
追いかけて呼び止めて謝ろうと思った。
だけど、実弥は歩みを止めることもなく背を向けたまま手をヒラヒラと振るだけだった。
まるで、気にしてないからおまえも気にするなと言ってくれているようで。
実弥は心の広さも併せ持つ人だったんだなと、桜はその背を見送った。
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風花 - 桜花さん、お久しぶりです。覚えて頂けていますでしょうか?久しぶりにニヤニヤしながら一気に読んじゃいました(笑)これからも更新を楽しみにしています(*^^*) (2023年4月12日 4時) (レス) id: 0f5aae934e (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 義勇とリヴァイ推しさん» 更新亀より遅いのに通っていただき、ありがとうございます( o̴̶̷᷄ ·̫ o̴̶̷̥᷅ )義勇さん、きっと不死川さんも喜ぶと思います。でも、喧嘩はしないでくださいね( *´꒳`*) (2022年4月30日 13時) (レス) id: 16cf354de0 (このIDを非表示/違反報告)
義勇とリヴァイ推し - 不死川…俺の継子に(稽古してくれた)ようだな…。感謝する…。後で、懐にお萩忍ばせて(おいて)あげよう。義勇と杏寿郎推しから“義勇とリヴァイ推し”になった。中の人は一緒だからな。冨岡義勇だ。ゆっくりで良いから頑張ってくれ…。 (2022年4月25日 20時) (レス) @page33 id: 39583b605b (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 義勇と杏寿郎推しさん» お久しぶりです(^^)ずいぶんと更新がストップしていて、すみません。まだまだ亀更新ですが、頑張ります! (2022年3月19日 19時) (レス) id: 16cf354de0 (このIDを非表示/違反報告)
義勇と杏寿郎推し - むっ!冨岡と夢主いつのまにか仲良くなっているではないか!!これから、この2人が恋仲になりそうだな!!炎柱、煉獄杏寿郎だ!これからも頑張ってくれ!! (2022年3月14日 6時) (レス) @page23 id: 3737ce31ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜花 | 作成日時:2022年1月10日 11時