其の弐佰漆拾玖 杏寿郎と炭治郎6 ページ29
「大丈夫か!?痛むのか?」
心配そうに寄ってきた杏寿郎を桜は困り果てたように眉尻を下げて見上げた。
「痛みは本当にないんです。ただ、この格好が非常にマズイと思ったんです」
「確かに、艶やかでなんというか・・・・・・」
「いえっ、そういう意味ではなくてですねっ」
杏寿郎は目のやり場に困ると続けながらも、顎に手を添えジッと桜の姿を見つめた。
その視線に桜はたじろぎながら胸元を手繰り寄せると強く握りしめる。
「ずぶ濡れで服もびしょびしょですし、しのぶちゃんにバレる前に着替えてきます」
「む!すまない・・・つい夢中になりすぎた!」
「煉獄さんが謝らないでください。私も夢中だったんですから」
思い出したように申し訳なさそうに頬をかく杏寿郎に桜は苦笑をもらす。
「でも、これはさすがにまずいですから、しのぶちゃんにバレる前にアオイちゃんに着替えをもらってきます」
勘の鋭いしのぶと出会す前に着替えを終わらせておかなければ。
「なら、俺も一緒に行こう」
「ありがとうございます。でも大丈夫です。煉獄さんは炭治郎くんと訓練を」
「そうか?」
「今日はありがとうございました。お邪魔いたしました」
「こちらこそ」
人当たりの良い笑顔を浮かべた杏寿郎に、桜はペコリと軽くお辞儀して訓練場を後にした。
「桜さん無事でいられるんでしょうか・・・・・・」
「神のみぞ知る・・・桜が胡蝶に見つかれば俺たちも危険だな」
「・・・・・・・・・」
真剣な表情でそう零す杏寿郎。
まるで鬼と対峙している時のような雰囲気だ。
このことがバレた時のことを想像し炭治郎は杏寿郎の隣で身震いしていた。
◆◆◆◆◆
入院着がずぶ濡れになってしまった桜は、着替えをもらいにアオイを探していた。
それも、おそるおそる辺りを警戒してだ。
その姿は敵に見つからないよう動く間者のように見える。
しのぶにだけは見つかりたくなかったのだ。
見つかればこの状態を聞かれるだろうし、しのぶを相手に嘘をつききれる自信もない。
嘘がバレれば杏寿郎たちも巻き込んでしまう。
「アオイちゃん………いる?」
しのぶがいそうな部屋をのけて、片っ端から部屋を覗いていく。
この際だから、アオイでなくても、きよ、すみ、なほの三人でもいい。
しのぶでなければ。
「アオイちゃーん」
「桜さん?」
薬品が保管されている部屋でようやくアオイを発見した。
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風花 - 桜花さん、お久しぶりです。覚えて頂けていますでしょうか?久しぶりにニヤニヤしながら一気に読んじゃいました(笑)これからも更新を楽しみにしています(*^^*) (2023年4月12日 4時) (レス) id: 0f5aae934e (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 義勇とリヴァイ推しさん» 更新亀より遅いのに通っていただき、ありがとうございます( o̴̶̷᷄ ·̫ o̴̶̷̥᷅ )義勇さん、きっと不死川さんも喜ぶと思います。でも、喧嘩はしないでくださいね( *´꒳`*) (2022年4月30日 13時) (レス) id: 16cf354de0 (このIDを非表示/違反報告)
義勇とリヴァイ推し - 不死川…俺の継子に(稽古してくれた)ようだな…。感謝する…。後で、懐にお萩忍ばせて(おいて)あげよう。義勇と杏寿郎推しから“義勇とリヴァイ推し”になった。中の人は一緒だからな。冨岡義勇だ。ゆっくりで良いから頑張ってくれ…。 (2022年4月25日 20時) (レス) @page33 id: 39583b605b (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 義勇と杏寿郎推しさん» お久しぶりです(^^)ずいぶんと更新がストップしていて、すみません。まだまだ亀更新ですが、頑張ります! (2022年3月19日 19時) (レス) id: 16cf354de0 (このIDを非表示/違反報告)
義勇と杏寿郎推し - むっ!冨岡と夢主いつのまにか仲良くなっているではないか!!これから、この2人が恋仲になりそうだな!!炎柱、煉獄杏寿郎だ!これからも頑張ってくれ!! (2022年3月14日 6時) (レス) @page23 id: 3737ce31ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜花 | 作成日時:2022年1月10日 11時