其の弐佰参拾捌 無限列車編35 ページ38
(鬼……それも上弦……!)
桜はゴクリと唾を飲み込んだ。
ものすごい重圧感、そして一方的に追い詰められたように錯覚させられるほどの危険な気配。
次元が違いすぎる。
初めて遭遇する上弦の鬼の存在に、不安、恐れ、押し隠すことのできない感情に桜の手が震える。
(落ち着いて……相手に悟られる……)
瞬間、桜は猗窩座と目が合ったような気がした。
いや見られている。
そう思った直後、猗窩座がその場から一瞬にして姿を消した。
「!」
桜がいないと思う間に、一気に間合いを詰め目の前に現れた猗窩座の左拳が桜を狙って振り下ろされた。
日輪刀を抜いて腕を斬り落とさなければ殺されると思うのに、気迫と恐ろしさからまるで金縛りにあったように動けない。
恐怖から猗窩座の動きがスローモーションに見えた。
桜の顔面が砕かれる寸前、
「炎の呼吸 弐ノ型 昇り炎天!」
杏寿郎が、下から上に弧を描くように猗窩座の左の拳から肘にかけて真っ二つに斬り裂いた。
杏寿郎から距離をとるようにバク転を繰り返しながら後退する猗窩座の姿を見ながら、桜の体からはようやく力が抜けた。
杏寿郎に守ってもらったのはこれで二度目だ。
「なぜ桜から狙うのか理解できない」
「話の邪魔になるかと思った、俺とお前の」
「君と俺が何の話をする?初対面だが俺はすでに君のことが嫌いだ」
桜に手を出そうとした時点で杏寿郎は猗窩座に対し憤慨していた。
鬼が人の意見を尊重してくれるなどとは思いもしないが、杏寿郎が大切に想う桜を狙うとは許せるものではない。
杏寿郎はギリと手の甲に血管が浮き出るほど強く日輪刀を握り締めた。
「そうか。俺もその女のような弱い人間が大嫌いだ。弱者を見ると虫酸が走る」
「俺と君とでは物事の価値基準が違うようだな」
呆れるような、でも静かな怒りを感じる杏寿郎の声。
杏寿郎と猗窩座の会話を桜は呆然と聞いていた。
其の弐佰参拾玖 無限列車編36→←其の弐佰参拾漆 無限列車編34
97人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桜花(プロフ) - 義勇と杏寿郎推しさん» だいぶ放置ですみません!国家資格目指してるんですね。すごいです!私も陰ながら応援しています。もう、あまり需要もないかとは思いますが私はまだまだ鬼滅の刃が好きなのでボチボ頑張って更新していこうと思います。お時間あれば、また遊びにきてくださいね。 (2022年1月10日 11時) (レス) id: 16cf354de0 (このIDを非表示/違反報告)
義勇と杏寿郎推し - 資格取ろうと思っているんだな!俺も国家資格を取ろうと思っている!お互い!勉強!集中!煉獄杏寿郎だ! (2021年10月31日 20時) (レス) @page50 id: e9e5935c56 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 義勇と杏寿郎推しさん» レスと更新が遅くなって申し訳ありません(T ^ T)しばらくこのような状態が続くと思われます。忘れた頃に更新かもしれませんが、引き続き彼らの応援よろしくお願いします( ^∀^) (2021年10月31日 15時) (レス) id: 16cf354de0 (このIDを非表示/違反報告)
義勇と杏寿郎推し - 煉獄さん!頑張れ!俺、煉獄さんを応援します!煉獄さんは強い‥!俺は弱者じゃない!夢主さんもだ!勝手に決めつけるな!猗窩座…!!お前を絶対許さない!竈門炭治郎です!煉獄さん、夢主さん!頑張って下さい! (2021年10月10日 19時) (レス) @page46 id: 2a3c5f3e4e (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 義勇と杏寿郎推しさん» 全て言ってしまうとネタバレになってしまうので、あらかた伏せてになるのですが……^^;柱救済で物語を展開していきますので現役引退はありません!とだけ(^-^) (2021年10月4日 21時) (レス) id: 16cf354de0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:桜花 | 作成日時:2021年9月19日 10時