其の弐佰弐拾漆 無限列車編24 ページ27
焦点を男にあわせると、刀の切っ先がこちらに向けられている。
一瞬身構えた桜だけど、悲しそうな怒っているような、ごちゃ混ぜになった感情のやり場のない思いが彼の瞳に見てとれて、桜はその場から動くことも考えることもできなかった。
《任務のため来たはずだ。思い出せ》
男はそう言い残しスゥっと消えていった。
あの人はいったい何を訴えたかったのだろう。
なぜあんな
思い出すってなにを?
任務ってなに?
私がなにを忘れてるというの。
私はあなたを忘れているとでもいうの?
でも、知らないものは思い出せるはずもない。
腰にあった刀も男が消えたあと、いつの間にか消えていて、姿もおかしな服装から元の浴衣に戻っていて桜は頭を抱えた。
身の回りでおかしなことばかり起きる。
あの男が度々目の前に現れることは、なにかを忘れてしまってることと関係があるのだろうか。
「桜、大丈夫?」
「うん、平気。ありがとう」
「来ないと思ったら、急に立ち止まってボーっとしてるから驚いたよ?」
「…………ごめん」
やはりあの男は桜にしか見えない。
しかも、あんなド派手なアクションがあったのに奏多は何事もなかったかのように普通の顔をしている。
あれが私の頭の中での出来事だとしたら、そうとうイッてると思う。
自分で自分を殺そうとしているのだから。
『任務のため来たはずだ』
なぜか頭にずっと引っ掛かっている。
任務のために来たって誰が?私が?
そもそも任務ってなに?
彼が目の前に現れるたび、言いようのない不安にさらされる。
怖いはずだったのに、さっき見たあの瞳を思い出すとなぜか懐かしさも感じたような気がして。
胸がつかえるような思いに桜は頭を悩ませ目を閉じた。
「お姉ちゃん見て見て!お魚いっぱいいるよ!」
「!」
三葉の声に再び目を開けると、目の前に川が流れていた。
キラキラと水面が輝いて、そこで泳ぐ小魚の群れに三葉が興奮している。
悪い夢でも見ていたのだろうか。
きっとそうだ。
「今晩のおかずになりそう。お姉ちゃんが捕ってあげるね!」
よーし!と桜は裾をまくり裸足で川の中に入ると、品定めをするため水面を覗き込んだ瞬間、
「!?」
ギクリと桜は体を強張らせた。
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桜花(プロフ) - 義勇と杏寿郎推しさん» だいぶ放置ですみません!国家資格目指してるんですね。すごいです!私も陰ながら応援しています。もう、あまり需要もないかとは思いますが私はまだまだ鬼滅の刃が好きなのでボチボ頑張って更新していこうと思います。お時間あれば、また遊びにきてくださいね。 (2022年1月10日 11時) (レス) id: 16cf354de0 (このIDを非表示/違反報告)
義勇と杏寿郎推し - 資格取ろうと思っているんだな!俺も国家資格を取ろうと思っている!お互い!勉強!集中!煉獄杏寿郎だ! (2021年10月31日 20時) (レス) @page50 id: e9e5935c56 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 義勇と杏寿郎推しさん» レスと更新が遅くなって申し訳ありません(T ^ T)しばらくこのような状態が続くと思われます。忘れた頃に更新かもしれませんが、引き続き彼らの応援よろしくお願いします( ^∀^) (2021年10月31日 15時) (レス) id: 16cf354de0 (このIDを非表示/違反報告)
義勇と杏寿郎推し - 煉獄さん!頑張れ!俺、煉獄さんを応援します!煉獄さんは強い‥!俺は弱者じゃない!夢主さんもだ!勝手に決めつけるな!猗窩座…!!お前を絶対許さない!竈門炭治郎です!煉獄さん、夢主さん!頑張って下さい! (2021年10月10日 19時) (レス) @page46 id: 2a3c5f3e4e (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 義勇と杏寿郎推しさん» 全て言ってしまうとネタバレになってしまうので、あらかた伏せてになるのですが……^^;柱救済で物語を展開していきますので現役引退はありません!とだけ(^-^) (2021年10月4日 21時) (レス) id: 16cf354de0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜花 | 作成日時:2021年9月19日 10時